2004 Fiscal Year Annual Research Report
ノイズを考慮した熱対流場の確率論的挙動の解明と応用
Project/Area Number |
15760132
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石田 秀士 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (80283737)
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Keywords | リアプノフ指数 / 統計構造関数 / 熱流束振動 / カオス / 共鳴 |
Research Abstract |
本年度は1)熱対流場の第1,第2リアプノフ指数の初期値揺らぎの大偏差統計に基づく統計構造関数の算出法の開発と2)カオス熱対流場の実験的検討のための実験装置の製作と数値計算による検討を平行して行った.まず第1,第2リアプノフ指数の揺らぎに関してであるが,前年度までに行った第1,第2リアプノフ指数による流れ場の分類1)定常(P),2)周期的(P),3)準周期的(QP),4)カオス的(C)に基づき,2),3),4)に属する典型的な流れ場について大偏差統計の手法を適用し,それぞれのリアプノフ指数の統計構造関数(クラメル関数)を計算した.その結果,上の領域分けに関わらず,時間平均(アンサンブル平均)リアプノフ数が0のものについては分布はガウス的であり,それ以外は非ガウス的であることを世界で初めて示すことが出来た.このことは本研究のテーマである熱対流場の確率論的挙動を理解する上で極めて注目すべき結果であり,この成果は来年度の欧州機械学会非線形力学会議(オランダ)で発表予定(概要による審査通過)である.また,本年度はカオス的流れ場を実験的に実現するための実験装置の製作を行った.この装置は密閉容器内部の熱対流場を対象としており,片方の鉛直面に投入する熱量を周期変動させることが出来るようになっている.実験装置はほぼ完成しており,来年度以降カオス熱対流場の可視化,温度測定実験を行うことにより本研究のテーマである確率論的挙動解明のための実験的基礎データを得る予定である.なお,数値計算による予備検討では熱量を加える周波数が低すぎたためカオス挙動が見られなかったが,いままでの理論で説明できない共鳴現象を見いだすことが出来た.この成果は日本機械学会論文集(投稿済),九州支部58期総会講演会で発表を行った.
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