Research Abstract |
様々な特徴を有する大気圧近傍の高温高湿度空気や過熱水蒸気を乾燥熱風として用いる乾燥方法の技術確立が期待されている.この乾燥法では,処理初期に材料表面に結露(水蒸気凝縮)が起き,その後,凝縮水が再び気流中に蒸発する特有のプロセスがあり,これを凝縮から蒸発への反転過程と呼んでいる.本過程は,含水率を変化させずに材料を直接接触凝縮により急速に加熱できることから,近年,食品加工や殺菌,熱処理などの工業的な利用方法への応用が期待されている. 本年度は,この反転過程について,平板状処理物を想定して,直交座標一次元伝熱モデルを用いて,研究代表者らが提案してきた過熱水蒸気乾燥における反転過程モデルを,低湿度空気から過熱水蒸気に至る幅広い湿度条件に拡張した.また,反転過程における処理物の質量変化,温度変化を数値計算により予測し,また,幅広い湿度条件で実験可能な装置を製作し,ジャガイモを用いた実験結果と計算結果を比較することにより計算モデルの有用性を示した.加えて,これらの結果を,無次元数の導入により一般化し,含水率を変化させずに直接接触凝縮により急速に材料を加熱する際の,気流温度・湿度条件と処理時間の簡易な予測方法を提案した. また,球状の多孔質材料(赤レンガ)を試料として,乾燥中の詳細な質量変化ならいに温度変化の測定,ならびに数値計算により乾燥特性について調べた.その結果から,乾燥に必要な時間に与える,反転過程,恒率乾燥区間の乾燥速度,限界含水率,減率乾燥区間における乾燥速度低下などの諸特性の影響を整理した.特に,本試料・実験条件の場合には湿度が高いほど限界含水率が低下すること,380℃以上では湿度が高いほど恒率乾燥区間の乾燥速度が大きいこと,200℃以上であれば凝縮時間を含めても乾燥時間の短縮が期待できることなどについて実験ならびに数値計算により示した.
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