Research Abstract |
現在,我が国の自動車運転免許保有者数は,6400万人で,そのうち65歳以上の高齢運転者数は,約10%であり,20年後には,5倍程度に増加する.特に欧来州諸国にくらべ,日本は極めて高い割合で高齢者人口が増加しており,高齢者がかかわる交通事故の増加が問題になっている.それは,個人差を考慮した高齢者の運転特性がそもそもまだ十分に解明されていなく,高齢者自身も自分の運転特性や能力を十分にわからないまま運転しているからであると考える. 本研究では,高齢者を含む運転者の操作行動と操作系の相互作用を明確にし,安全性向上のための操作システムを提案することを目的とする. 本年度は高齢者の運転特性における個人差を,個々人の生活特性や身体機能といった属性の違いで説明できないかという,新しい視点から捉え,同一の高齢運転者に対して,運転特性,生活特性,身体特性といった多面的な角度から特性把握実験を,生活を営む上で自動車の使用が不可欠な地方地域で行った.また,その際,被験者には事前に実験内容を十分に説明し,インフォームドコンセントをえた上で実験を行った. その結果,高齢者の運転特性のばらつきは,個々人の生活特性や身体特性といった属性と関連があることを示し,不安全運転をおこす,高齢運転者の抽出が可能となった.また,その不安全な操作行動は,運転環境に対する,情報処理能力,情報取得方法である注視行動に影響がある可能性を示した. 来年度は,本研究で明らかになった高齢運転者特性のばらつきをふまえ,運転者の運転操作の特徴を考慮した,不安全行動をおこさない,操作支援システムを提案する.
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