Research Abstract |
ネットワーク遠隔操作では操作情報と画像の遅延による操作性・作業性の劣化が実用化の大きな障害となる.本研究では,この問題に対処するため,環境モデルを要しない新しい予測呈示手法を確立し,広く応用可能な実画像ネットワーク遠隔作業支援システムを構築することを目指し,本年度は,(1)ロボット制御手法の改良,(2)高臨場感感覚呈示の実現,(3)通信法の検討とインターネット環境での基礎実験システムの構築,(4)三次元情報の呈示法の検討等を行った.(1)については,前年度に構築した基本システムを各種遠隔作業に汎用的に応用できるよう,状況に応じて適宜選択可能な「速度指令モード」「位置指令モード」という二つの特長ある操作モードを新たに設計・追加し,それらに対応した「環境モデルを要しない力作用状態予測呈示法」を開発した.また,(2)に関しては,遅れの存在下で臨場感高く作業を遂行できるよう,算出した力作用状態を力覚的にオペレータに呈示する手法を新規開発した.更に,汎用的な通信網を用いてネットワーク遠隔操作システムを構築できるよう,インターネットに対応可能な通信手法を考案し,実際にインターネット環境で実験を行うためにシステムを拡張した(項目(3)).具体的には,通信容量や通信頻度の問題に対処するためのデータ圧縮伝送やバッファリング手法,モード切替等の装置全体への命令を伝送するためのコマンド通信システムの開発を行った.更に,年度後半には,三次元情報を効果的にオペレータに呈示するため,立体ディスプレイにモデル情報を呈示する基本手法についての検討を行い,来年度の研究計画に向けての要素技術を習得した(項目(4)).その他,カメラ雲台の遠隔操作やタッチパネルの導入など,各種操作インターフェースの改良も行った.本研究に関して,国内発表(査読無1件,査読有1件),特許出願(項目(1)(2)に関して1件)も行い,研究計画以上の成果が得られた.
|