Research Abstract |
本研究では,車椅子生活を送っている方々が特別なインフラがない環境でも,健常者と同等の日常生活を送れるような直立移動システムを開発することが目的である.本移動システムは(1)移動台車,(2)伸縮松葉杖,(3)下肢関節動力アシスト装置,の3装置から構成される.今年度は以下の研究を行った. 1.下肢関節動力アシスト装置の設計,および実際の動作を検証するために片脚部分の製作を行った.可動関節は重量,制御面等から,なるべく少ないことが望ましいので,スノーボード用のブーツを履くことにより,足首の関節を受動的に動作させ,膝関節,および腿関節には比較的小型のモータを取り付けた,また,減速機はウォームギアから構成し,バックドライバブルな機構でなくすることにより,電源が不意に落ちたときでもフェールセーフな設計とした. 2.椅子からの起立,着席動作では伸縮松葉杖と下肢関節動力アシスト装置の協調動作が必要となる.このときに,どのあたりに杖をつけばアシスト装置にかかる負担を軽減できるのかという検討を行った.今年度は,まず,数値シミュレーションにより最適点の計算を行い,その後,ロードセルを用いた荷重計測装置により足裏にかかる荷重の計測を行い,同時に杖の先端に取り付けたロードセルを用いて杖にかかる荷重を計測することにより,起立時の荷重分担の時間応答をとり,シミュレーションと実機の応答が同じであることを確認した. 3.これまでに回転機能を持たない移動台車を製作していたが,今年度は,移動装置を再設計し,回転板を取り付けた装置の製作を行った.そして,伸縮松葉杖により上体のバランスを保ちながら,脚の踏み変え時に回転板を回転させ,接地後もとの角度に戻すという動作を左右の脚について順次行い,旋回動作が可能であることを確かめた.
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