2004 Fiscal Year Annual Research Report
水溶液プロセスを用いた磁気マイクロ・ロボットの開発
Project/Area Number |
15760219
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
西村 一寛 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (60343216)
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Keywords | 磁気マイクロマシン / フェライトめっき / スピネルフェライト薄膜 |
Research Abstract |
磁気力によって駆動するマイクロマシンは、駆動のための電源が外部磁場によって供給できるため、体内中での遠隔治療などの応用が期待されている。マイクロマシンの開発は、セラミックパイプ、タングステンワイヤー、希土類磁石で構成したものや、光造形法をもちいた樹脂と希土類磁石で構成したもので良好な駆動特性を得ることに成功しているが、比重が大きく希土類磁石はすぐに錆びてしまうなど体内注入型のマイクロマシンの実現には至っていない。これらマイクロマシンを、体液や血液中を自由に移動させるためには、小型化が可能なこと、生体適合性が高いことが必要とされる。さらに、その比重を体液や血液と等しくすることで重力の影響がなく制御しやすいものとなる。本研究では、光造形法によって比重の小さい樹脂を加工することによって、小型化と比重を小さくし、さらにフェライトやFePtをコーティングすることで、化学安定性および生体適合性を持つ薄膜型の医療磁性マイクロマシンの作製を試みるものである。 水溶液中で結晶質のスピネルフェライト薄膜を直接堆積させる技術を用いて、螺旋構造をした樹脂へ、最も構造が単純で生体適合性を有するFe_3O_4やハードな磁気特性をもつCo_xFe_<3-x>O_4膜を堆積させた。この技術ではFe_3O_4にCoを固溶させることによってCo_xFe_<3-x>O_4を作製するが、スピネル構造を保ったままの状態でCoを固溶する量には限界があった。この固溶する量を増加させることができればよりハードな磁気特性が得られることが期待できる。微粒子形成において固溶量を増加させることに効果があるFe^<3+>イオンの添加で固溶量を少し増加させることに成功した。これらの結果を基にしてFe_3O_4,Co_<0.39>Fe_<2.61>O_4,固溶量をすこし増加させたCo_<0.45>Fe_<2.55>O_4の3種類のマイクロマシンを作製し、水溶液中で回転磁場を印加することによって泳動特性を測定した。いずれのマシンも水中で良好な泳動を示し、複雑な形状に均一のコーティングされていることを確認した。磁気マイクロマシンに用いる磁性材用は保磁力の大きな永久磁石材料を用いている。磁気的にソフトなFe_3O_4をめっきさせたマシンは、外部回転磁界の強度が始動トルク以上に磁化させることで駆動することを確認した。この結果から磁気的にソフトな材料である、パーマロイやセンダストを用いた磁気マイクロマシンへの応用が期待できる。さらに、永久磁石材料を用いたマイクロマシンと駆動特性が異なることから、周波数を変化させることで、個別にオンオフ駆動できるマイクロマシンへの応用も期待できる。
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Research Products
(1 results)