2003 Fiscal Year Annual Research Report
単一磁束量子ポンプを用いた高精度ディジタル-アナログ変換器
Project/Area Number |
15760238
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
水柿 義直 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (30280887)
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Keywords | 単一磁束量子 / ジョセフソン効果 / 電圧標準 / 高周波 / シャピロステップ / SQUID / ニオブ接合 / 数値計算 |
Research Abstract |
本年度においては、まず単一磁束量子ポンプ動作の計算機シミュレーションによる検証を行った。昨年度までに得られていた実験結果において、位相の異なる2つのマイクロ波信号を印加した際に単一磁束量子ポンプにおいてゼロバイアス電流軸を横切るシャピロステップ(ゼロクロスステップ)が確認されているが、そのマイクロ波パワー依存性は複雑であった。シミュレーションの結果、マイクロ波パワーが大きい場合、単一磁束量子ポンプ内のジョセフソン接合において、マイクロ波信号1周期の間に2回以上の量子遷移が発生するものの、その遷移は正負両方の位相変化を含んでおり、結果として1周期あたり1磁束量子の移動となっていることが分かった。 次に、単一磁束量子ポンプの構成要素である2接合SQUIDの高周波磁束信号応答性について調べた。昨年度までは2接合SQUIDのインダクタンスLと接合の臨界電流Icの積を磁束量子Φ0で割った量で規格化したパラメータβL(=LIc/Φ0)の値として1以上の場合のみについて取り扱ってきたが、これを1未満に拡張して、シャピロステップの挙動について調べた。その結果、βL<1の場合は、マイクロ波の規格化周波数が1以下になると、生成されるシャピロステップの最大高さが減少することが分かった。ステップの電流位置について調べたところ、βL≧1の場合はSQUIDの量子干渉パターンと良い一致を示したのに対し、βL<1の場合は量子干渉パターンの谷の部分においてジョセフソン接合の位相差が2π以上変化してしまい、高次のステップが生成されることが分かった。 また、CADを用いて3ビットのディジタル-アナログ変換器のレイアウト設計を行った。チップ納入後、動作検証を行う予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Y.Mizugaki, et al.: "Zero-Crossing Shapiro Step in a Three-Junction SQUID Magnetically Coupled with Two Phase-Shifted RF Signals"IEEE Transactions on Applied Superconductivity. 13・2. 926-929 (2003)
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[Publications] Y.Mizugaki: "Numerical investigation for the frequency dependence of Shapiro steps in an RF-field-driven SQUID"Superconductor Science and Technology. 16・12. 1380-1382 (2003)
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[Publications] 水柿義直: "3接合SQUIDの単一磁束量子ポンプ動作と単一電子デバイスとの双対性"応用物理. 73・1. 41-44 (2004)