2003 Fiscal Year Annual Research Report
フォトニック結晶に非線形誘電体を組み込んだ光機能素子に関する研究
Project/Area Number |
15760249
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
前田 洋 福岡工業大学, 情報工学部, 助教授 (50264073)
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Keywords | フォトニック結晶 / 非線形誘電体 / 光機能素子 / 方向性結合器 / カー効果 / スイッチング / 全光学的信号処理 / 消光比 |
Research Abstract |
次世代の光伝送素子として期待されているフォトニック結晶構造に非線形誘電体を組み込み,光信号振幅の変化のみによって光波の伝搬路を変化させる構造について,有限差分時間領域法を用いた理輪的な解析を行った.平成15年度は2次元方向性結合器における光スイッチングの解析を中心に行った. ピラー型フォトニック結晶内の格子欠陥列を導波路とし,近接した欠陥列を2列平行に設けた方向性結合器を考えた.その際,2つの出力ポート間における光波の分離のため一方の出力ポートを直角に曲げた.この直角曲がりの透過率を最大にする構造についてまず解析を行い最適な格子間隔を見出した.このとき入射波はガウスビームで,キャリア光波長は1.55μmの連続波とした.その後,結合器の欠陥列にはさまれた結合領域のピラーの線形屈折率を変化させてスィッチングを起こすのに必要なピラーの本数を決定した.以上を踏まえて,結合領域のピラーにカー型の非線形性を想定した解析を行った.カー型の非線形性は電界の3乗に比例する項となって現れるが,これをテイラー展開して時間領域有限差分法に組み入れた. 以上のような条件で解析を行った結果,入射光の振幅を5倍程度変化させると出力ポートが切り替わり,そのときの消光比として4倍程度の値が得られるという数値結果を得た.また,このような光スイッチングを起こすには,全て線形誘電体で構成されたフォトニック結晶方向性結合器の場合において約0.1の屈折率変化を要することも明らかになった.しかしながら非線形誘電体を組み入れると,非線形屈折率が光波伝搬に伴い変動するためにバンドギャップ構造が乱されて放射を伴いながら伝搬するため入出力の効率が低下することも明らかになった.消光比の向上と放射の抑圧,および3次元構造の解析が次年度取り組むべき課題である.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 前田 洋, 李 雪峰, 渡辺 仰基: "フーリエ級数展開法によるフォトニック導波路の解析"電気関係学会九州支部第56回連合大会講演論文集. 01-2P-18 (2003)
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[Publications] 李 雪峰, 前田 洋: "非線形誘電体を用いた2次元フォトニック結晶方向性結合器の数値解析"電気学会電磁界理論研究会資料. EMT-03-87. 19-24 (2003)
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[Publications] Hiroshi Maeda, Xuefeng Li: "Optical switching in photonic crystal directional coupler by Kerr nonlinearity"Proceedings of 2004 URSI Electromagnetic Theory Symposium (to be held in May 2004). (Accepted)(To be published). (2004)