2004 Fiscal Year Annual Research Report
テラヘルツ波パラメトリック発振器を用いた非破壊検査応用
Project/Area Number |
15760309
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
南出 泰亜 独立行政法人理化学研究所, 光発生・計測研究チーム, 研究員 (10322687)
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Keywords | テラヘルツ波 / パラメトリック発振器 / 非線形結晶 / リング型光源 / イメージング / 分光 / 非破壊検査 |
Research Abstract |
本研究の目的は,非線形光学結晶による光波長変換を応用したテラヘルツ波パラメトリック発振器の広帯域周波数可変性を活かした非破壊検査用テラヘルツ波イメージングシステムの開発である.今年度は,前年度で開発した小型周波数可変リング型テラヘルツ波パラメトリック発振器を用いて分光イメージング光学系を構築した.テラヘルツ波パラメトリック発振器からのテラヘルツ波を焦点距離30mmのレンズにて絞り,サンプル上に直径約500μm〜1mmにテラヘルツ波を集めた.サンプルを透過したテラヘルツ波は,焦点距離30mmのレンズにて平行光にした後,テラヘルツ波検出器(シリコンボロメータ)に集光して検出した.テラヘルツ波イメージは,サンプルをXYステージで位置制御し,各点でのテラヘルツ透過波を計測して得た.最初にシステムの動作評価として新一万円札のすかしをイメージング計測したところ,すかしの人物像を可視化することができた.次に,医学応用への発展を考え,肝臓癌の腫瘍を含む乾燥させパラフィン固定した肝臓切片をサンプルとした.正常細胞部,癌細胞部,壊死部などの各部分でのテラヘルツ波分光を行ったところ,それぞれ透過スペクトルが異なる結果が得られた.これを基に,周波数1.2THzと1.8THzで,テラヘルツ波イメージング計測を行った結果,1.2THzのとき癌部と正常部をコントラスト良く区別し可視化することに成功した.本結果は,各部の透過特性を比較したとき差が大きくなる周波数を選択して得られたものであり,広帯域周波数可変テラヘルツ波光源の有効な応用の一つとして非破壊検査応用の基礎特性を得ることができた.本研究成果をもとに,基礎医学,セキュリティーなど広い分野へ,テラヘルツ波応用研究を発展させていきたいと考えている.
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