2004 Fiscal Year Annual Research Report
受動性を保存する離散化法とそれに基づくデジタル非線形制御法の構築
Project/Area Number |
15760313
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大石 泰章 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 講師 (80272392)
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Keywords | 受動性 / 離散化 / 非線形システム / 実時間性 / シンプレクティック法 / ハミルトニアン / 区間解析 / 制約つき制御 |
Research Abstract |
前年度の研究により,受動性を保存する離散化法を実現するためには非線形システムにおける1サンプル周期予測を効果的に行なうことが鍵であることがわかった.本年度はこれを受けて,1サンプル周期予測の方法について考察し,以下の2つの結果を得た. 第一に,エネルギーを保存する離散化法として数値解析の分野で使われているシンプレクティック法に関して適用の可能性を検討した.一般にシンプレクティック法は陰的解法であり,実時間性が重要となる制御理論との整合性は良くないが,系のハミルトニアンが特殊な形を持つときは陽的解法になる.このことに着目して研究を行なったが以下の2つの問題点があることがわかった.すなわち,制御理論の枠組においてハミルトニアンが上記の形を持つのは極めて特殊な場合に限られること,そして制御理論の枠組では数値解析の枠組と異なって1サンプル周期の間も制御対象は厳密に微分方程式に従って動作することである.これらを克服するためにはシンプレクティック法の原理に立ち戻って新しいアプローチを考える必要があり,これは来年度の課題である. 第二に,数値解析の分野における区間解析を使って非線形システムの1サンプル周期予測を行なう方法を開発した.一般に非線形システムの離散化を厳密に行なうことは難しいが,この方法を使えば厳密解を必ず含む区間を求めることができ,しかも計算コストをかければ区間を小さくすることも可能である.制御理論において類似のアプローチは本研究代表者の知る限り存在しないが,この方法が例えば制約つきの制御系設計において有用であることがわかった.来年度はこの方法とシンプレクティック法適用の問題点との関係について考察し,受動性保存に役立てることを検討する.
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Research Products
(5 results)