2004 Fiscal Year Annual Research Report
共分散行列の正実性を考慮した確率的同定問題に関する基礎的研究
Project/Area Number |
15760316
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 秀幸 京都大学, 情報学研究科, 助手 (90303883)
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Keywords | 確率実現 / 確率的部分空間同定法 / 正準相関解 / 確率的平衡実現 / ヒルベルト空間 / LQ分解 / リカッチ方程式 / 正実性 |
Research Abstract |
安定性と最小位相性を保証する確率的部分空間同定法を考察し,精度の高いアルゴリズムを開発した.研究成果は以下の通りである. 1.正確な共分散行列が有限個与えられる場合に対して,昨年度提案したブロックLQ分解に基づくアルゴリズムが最小位相なモデルを与えることを明らかにした.さらに,Lindquist and Picci (1996)による有限区間上の確率実現とMaciejowski (1996)による正準相関を用いた近似による確率実現が同じ実現であることも示し,これらの実現も最小位相モデルであることを示した.この結果を国際学会MTNS2004で発表した. 2.CDC2003で提案した確率的部分空間同定法より,精度の良い推定値が得られる方法を考察した.さらに,最小位相なモデルを得るための確率的部分空間同定法のプロトタイプアルゴリズムを新たに開発したので,その中に精度良く計算する方法を盛り込んだ,この結果を国際学会SSS2004に投稿し,予稿集に採択された. 3.有限個の時系列しか与えられない場合,昨年度CDC2003で提案したブロックLQ分解に基づくアルゴリズムでは,安定かつ最小位相モデルを与えないことが計算機による数値シミュレーションより明らかとなった.このためSSS04の結果を利用して,2本のリカッチ方程式を解いて,安定性と最小位相なモデルを得るための確率的部分空間同定法を開発した,国際学会IFAC2005に投稿した結果,採択されて2005年7月に発表予定となっている. 4.外生入力が加わる場合のシステムに出力に異常値が含まれる場合に対して部分空間同定法を初期値とする精度が良いシステム同定法が得られた.システム制御情報学会論文誌に投稿したところ,掲載予定となっている.また、閉ループ同定に関してもシンプルな結果が得られ,国際学会IFAC2005に採択され発表予定である.
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Research Products
(5 results)