2003 Fiscal Year Annual Research Report
高潮との同時発生を考慮した波浪の長期的統計解析法の構築
Project/Area Number |
15760377
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
北野 利一 名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00284307)
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Keywords | 高波および高潮の出現確率 / 再現期間 / Weibull分布 / Peaks-Over-Threshold / 一般化パレート分布 / 分布関数の裾の特性 / Gumbel確率紙 |
Research Abstract |
本年度は波浪の極値特性を検討した.極値波高の新たな指標として合田(2002)により提案された裾長度について,極値理論の視点からその意義を考察し,さらに追加すべき指標として裾厚度を提案した.このことは,一般化極値分布の尺度および形状母数が,Gumbel確率紙上のquantile関数の原点における勾配および曲率であるという性質を利用した. 従来のGoda(2000)による極値波高の母分布推定法は,極値の漸近分布だけでなく,経験分布であるWeibull分布を母分布として用い,それらの位置,尺度および形状母数の他に,平均発生率と採択率を推定する必要がある.すなわち,発生した全ての高波の内,採択率により限定した高波標本を扱うという考え方をしている.この時,極値I型を母分布とする特別な場合を除き,平均発生率および採択率の推定が難しく,推定できたとしても,その誤差について検討することはほとんど不可能と考える.本研究では,閾値を越える高波のみを扱い,一般化パレート分布(GPD)を母分布として用いることを提案した。この場合には,採択率という概念がない点,平均発生率はGPDの母数と独立して推定できるためその誤差も検討できる点が優れていることがわかった.また,適合に誤ると過小評価となるおそれから,従来法では,定義域に上限のある極値III型分布を用いない.しかし,Weibull分布は形状母数によっては極値III型分布の役割をすることを裾厚度により示した.以上の検討は,高潮の1元解析にも応用できる. さらに,波高の極値解析に用いる資料は,有義波高の極大値あるいは年最大値であることから,有義波高の統計的変動性について理論的に示した.
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[Publications] 北野利一: "極値波高分布の形状特性に対する汎用指標"海岸工学論文集. 50. 211-215 (2004)
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[Publications] 北野利一, 二宮太一, 喜岡 渉, 間瀬 肇: "有義波高の統計的特性-波別解析法に自由度を導入した理論解-"海岸工学論文集. 50. 161-165 (2004)
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[Publications] T.Kitano, W.Kioka, H.Mase: "A New Analysis Method for Extreme Wave Statistics by Poisson-GPD Model"Proc. of the 2nd Int.Conf. on Asian and Pacific Coasts. APAC034 (2004)