2003 Fiscal Year Annual Research Report
シリカ循環にみる森林から海への珪藻類の変化と栄養塩負荷の陸海相互作用に関する研究
Project/Area Number |
15760380
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
石塚 正秀 和歌山大学, システム工学部, 助手 (50324992)
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Keywords | 溶存ケイ素 / 紀ノ川流域 / 珪藻類 / 植物プランクトン / 停滞水域 / 底泥 / 生態系 / 栄養塩 |
Research Abstract |
1.調査概要 紀伊半島全域(全163箇所)における渓流水中の溶存ケイ素濃度を分析し,空間分布特性を調査した.また,紀ノ川下流域において,池水,渓流水,河川水,汽水に含まれる溶存ケイ素濃度の時間変動特性を調査した.また,紀ノ川上流域の猿谷ダムおよび紀ノ川河口の紀ノ川大堰において,底泥,水中のクロロフィルaおよび有機物量・栄養塩・植物プランクトンに関する調査・分析を行い,冬季の水質の特徴を調べた. 2.研究業績の要約 紀ノ川流域の空間分布から,紀ノ川下流(船戸)における河川水のDSi濃度は最上流部を除く山地渓流水と比較して,濃度が低いことが明らかとなった.また,時間変化に関して,池水のDSi濃度は硝酸イオンとの関係がみられた.また,地下湧水のDSi濃度の変動が小さいのに対して,渓流水のDSi濃度は変動が大きいことから,降雨後の流出過程においてDSi濃度が変化すると考えられる.地質とDSi濃度との関係については,一般的な特性でみられるように,砂岩,泥岩のみで形成されている地域よりも,凝灰岩が含まれている地域や変成岩の含まれる地質におけるDSi濃度が高い結果が得られた. 植物プランクトンの同定・計数の結果は,観測を開始した冬季のみのデータしかないが,代表的な珪藻類が観測された.この結果は水温の低い冬季の特徴をよく表している結果である.また,停滞水域においては,植物プランクトンおよび有機物量が多い結果が得られた.とくに,底泥や底層付近では量が多い結果が得られた.鉛直混合の進んだ冬季の結果しかないが,水温上昇が進むと夏季における水質悪化の原因として,底泥の潜在的な影響が示唆される結果である.来年度は研究2年目であり,春季から冬季にかけての水質変化と植物プランクトンとの関連性を継続的な調査で明らかにする予定である.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 石塚正秀: "溶存ケイ素に着目した紀ノ川流域における水質特性"土木学会水工学論文. 48. 1483-1488 (2004)
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[Publications] 石塚正秀: "紀ノ川流域のケイ素濃度の特徴と45年前との比較"土木学会第58回年次学術講演会講演概要集. 58. II-200 (2003)
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[Publications] 石塚正秀: "和歌山県の地表水に含まれるケイ素に関する基礎的研究"平成15年度土木学会関西支部講演概要. II-45-1-II-45-2 (2003)