2003 Fiscal Year Annual Research Report
風波砕波による大気-海洋間の二酸化炭素交換機構の解明
Project/Area Number |
15760383
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
杉原 裕司 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助教授 (70243970)
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Keywords | 気体交換 / 物質輸送 / 風波 / 砕波 / 二酸化炭素 / 白波被覆率 / 大気海洋相互用 / 海面境界過程 |
Research Abstract |
風波気液界面におけるCO_2交換速度の評価法に関する研究を行った.風洞水槽を用いて吹送距離ごとに風速とCO_2濃度の鉛直分布を測定し,プロファイル法を用いて局所的なCO_2フラックスを算定した.また,疎水性多孔質膜チューブから成る気液平衡器を用いて,水中の溶存CO_2濃度を測定した.得られたCO_2交換速度は摩擦速度とともに増大し,同じ摩擦速度に対しては吹送距離が大きいほど顕著に増加することが明らかとなった.また,実験値と次元解析に基づいて吹送距離を考慮した気体交換速度のパラメタリゼーションを行い,風波特性量で表示された気体交換速度の無次元評価式を構築した. また,海洋観測塔において白波被覆率(Whitecap coverage)W_cの現地計測を行った.3m/s付近の低風速から10m/sを超える高風速に至る幅広い条件下においてW_cとU_<10>(海上高度10mの平均風速)の関係について検討した.気温T_aと水表面温度T_sの差ΔT(=T_a-T_s)で定義される大気安定度を指標としてW_cとU_<10>の関係を調べた.その結果,同じ風速に対しては大気の不安定性が強いほどW_cは相対的に大きな値を示すことが明らかとなった.また,波の発達状態を指標としてW_cとU_<10>の関係を調べた結果,発達期にある波よりも減衰期にある波の方が相対的にW_cが大きくなることがわかった.さらに,波の方向スペクトルから風波とうねりの伝播方向を同定し,風波の伝播方向に対するうねりの偏角を指標としてW_cとU_<10>の関係を調べた.これより,風波のみが卓越する場合の方が,うねりの存在する場合に比べてW_cが相対的に大きくなることがわかった.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 津守博通, 杉原裕司, 増田 章: "風波気液界面を通しての二酸化炭素交換量の測定"海岸工学論文集. 50巻. 101-105 (2003)
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[Publications] 津守博通, 杉原裕司 他3名: "風波気液界面における局所CO_2交換速度の評価"水工学論文集. 48巻. 511-516 (2004)
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[Publications] 杉原裕司, 津守博通 他4名: "海面画像計測による白波被覆率の評価"九州大学大学院総合理工学報告. 25巻4号. 405-412 (2004)