2003 Fiscal Year Annual Research Report
焼酎蒸留粕で作製した高付加価値エコポットの土壌中における窒素の動態解析と分解特性
Project/Area Number |
15760412
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Research Institution | Kagoshima National College of Technology |
Principal Investigator |
山内 正仁 鹿児島工業高等専門学校, 土木工学科, 助教授 (40239843)
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Keywords | 焼酎蒸留粕 / エコポット / 重窒素 / 有効利用 |
Research Abstract |
九州地区で発生する焼酎粕量の約半分量の26万3千tonを占める鹿児島県では、今尚10万8千tonの焼酎粕が海洋投棄処分されている。今後、我が国もロンドン条約を批准するとみられ、焼酎メーカーにとっては大きな問題となっている。筆者等は焼酎粕を植物由来の有効な資源としてとらえ、焼酎粕から紙(エコ紙)を作製する技術を確立し、その技術を利用して土木・農業用資材の開発を検討している。本年度は、焼酎粕由来窒素を安定同位体の^<15>Nで標識し、^<15>Nトレーサー法を利用することで、土木・農業用資材の一つである焼酎粕含有エコポットの窒素収支(植物体へ吸収される窒素分、土壌中に残存する窒素分、地下水へ浸透する窒素分)を明らかにすることを目的に以下の項目について研究を行った。 1)^<15>N標識の米及び甘藷の栽培及び焼酎粕の製造 鉄骨ハウス内にコンテナ(内寸:53.7cm×41cm=0.22m^2(高さ32cm(未耕土しらす27cm))(59.4L))を4個準備し、重窒素((^<15>NH_4)_2SO_4)標識の水稲の栽培を行った。また、水稲栽培に利用した同寸法のコンテナ12個を準備し、重窒素(^<15>NH_4^<15>NO_3)標識の甘藷(コガネセンガン)の栽培も行った。栽培後、各作物のT-N含有率(%)、^<15>N(Atom%)を測定し、鹿児島県工業技術センターが保有するセミパイロットスケールの蒸留釜(100L)で焼酎を製造し、^<15>N標識焼酎粕を回収した。 2)^<15>N標識焼酎粕の窒素分析 各作物体及び焼酎粕(原液)のN含有率(%)、^<15>N(Atom%)を測定した。その結果、玄米中のN含有率は1.23%、^<15>N(Atom%)は24.3%であった。一方、甘藷のN含有率は0.406%、^<15>N(Atom%)は5.13%であった。また、米をラベリングした焼酎粕のN含有率は3.06%、^<15>N(Atom%)は3.63%であった。一方、甘藷をラベリングした焼酎粕のN含有率は3.35%、^<15>N(Atom%)は1.55%であった。 来年度は、これらの試料からエコポットを作製し、エコポット由来窒素及び焼酎粕(原液)の植物体吸収、土壌残存、溶脱及び揮発の動態を簡易ライシメーターで追跡する予定である。
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[Publications] 山内正仁 他4名: "焼酎蒸留粕で作製した資源循環型ポットの土壌還元特性"土木学会環境工学論文集. Vol.40. 639-646 (2003)
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[Publications] 米田真美, 山内正仁 他3名: "焼酎蒸留粕で作製したエコポットの土壌中における窒素の動態解析"日本土壌肥料学会九州支部春季講演集. (2004)
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[Publications] 安井賢太郎, 増田純雄, 佐伯雄一, 山内正仁: "焼酎蒸留粕から作成した資材の土壌還元に関する基礎的研究"土木学会西部支部発表会講演概要集B. 574-575 (2004)
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[Publications] 下堂園昭信, 山内正仁, 木原正人, 増田純雄: "焼酎蒸留粕で作製した資源循環型ポットの特性に関する研究"Journal of Eco technology Research. Vol9 No.3. 70-73 (2003)