2005 Fiscal Year Annual Research Report
接着剤を用いて接合したコンクリート部材接合面の力学性状の経年変化に関する研究
Project/Area Number |
15760413
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Research Institution | Kushiro National College of Technology |
Principal Investigator |
井上 圭一 釧路工業高等専門学校, 建築学科, 助教授 (70333630)
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Keywords | PCa / 接合面 / 接合面形状 / 接着剤 / 凍結融解試験 / せん断破壊実験 |
Research Abstract |
本研究の目的は、PCa部材に生コンクリートを打ち継ぐ際に接着剤を塗布したコンクリート接合面部材の暴露試験を行い、接合面におけるせん断破壊実験を行うことで、凍結融解に関わる劣化について明らかにすることである。ただし、暴露試験の代わりに凍結融解試験装置を用いた。また、PCa部材の関連の研究として、接合筋を入れた場合の実験も行った。 今年度の研究実績は次のようである。 1.接合面の表面形状の違い(金ごて仕上げ、刷毛引き仕上げ、遅延剤処理)の影響をせん断破壊実験を行うことで考察した。以下のことが明らかになった。(1)せん断破壊強度は、金ごて仕上げより刷毛引き仕上げの場合が若干大きい(2)遅延剤処理は他に比べ2倍程度大きい(3)初期剛性は試験体ごとにほぼ同じだが、金ごては変位と応力度が比例したままで破壊に至り、刷毛引きの場合は剛性が変化し第2勾配が生じ破壊に至る。ただし、昨年までに行った、表面形状のフーリエ解析結果との関係や、定量的なせん断破壊挙動について考察するためには、更なる実験が必要である。 2.凍結融解の影響による接合面破壊挙動についての実験結果から、凍結融解を行わなかった試験体、凍結融解を10サイクル行った試験体、100サイクル行った試験体の比較を行った。せん断破壊強度については、本年行った凍結融解の試験の範囲では、凍結融解による劣化は見られなかった。さらにサイクル数を増加した場合の実験を行っていないが、接着剤を用いて接合した場合の接合面の劣化は小さいといえる。ただし、試験体を増やして追加実験、凍結融解のサイクルを増やした実験は必要である。 3.関連として、接合筋を入れた実験も行ったが、比較的良好な実験結果が得られた。 研究成果としては、以上のようなことが明らかになったが、接着剤を用いたコンクリート接合面の力学的挙動の定量的評価を行うためには、更なる実験、考察が必要である。
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