2003 Fiscal Year Annual Research Report
アジア・ヨーロッパ都市における街路型職住複合建築の地域社会・経済連関に関する研究
Project/Area Number |
15760468
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Research Institution | Tottori University of Environmental Studies |
Principal Investigator |
張 漢賢 鳥取環境大学, 環境情報学部, 助手 (80341064)
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Keywords | ショップハウス / タウンハウス / 都心居住 / 多階層社会・経済 / 都市住宅 / 空間モデル |
Research Abstract |
今年度の研究実績は、主にフィールド調査によるものである。アジア、ヨーロッパ5都市フエ、ホイアン、ハノイ(以上はベトナム)、ロンドン(イギリス)、パリ(フランス)の街路型職住複合建築を対象として行った。市街地の空間形態(街道を単位とする件数):フエ(1)、ホイアン(6)、ハノイ(24)、ロンドン(5)、パリ(18)。全業種調査:ホイアン(2)、ロンドン(3)、パリ(5)。市街地の実測:ロンドン(5)、パリ(20)、全ファサード記録:ホイアン(6)。全てのフィールドに、街路型職住複合建築とその市街地が調査対象であり、ベトナムでは「nha ong」、イギリスではタウンハウス、フランスではパサージュにより形成された市街地である。すべての調査対象は少なくとも150年以上の歴史を有する市街地であり、建設された時点の市街地形態が継承されつつ、利用され続けているものである。 その持続的な利用を支える要素について、更なる調査と分析が必要であるが、以下いくつかの共通点をもっている。 1)道路により分割された街区と短冊状の敷地、狭い間口をもつ建築単位の集積。2)職住近接を支える空間として建設されたものであり、一括開発、個別開発にかかわらず、統一した市街地のイメージをもっている。3)新しい機能に転用される際、統一したイメージを損なわない空間改造が行われている。4)建物・市街地空間に公-私の空間の分節、共存が見られる。 その多様な利用形態と持続利用を形成した各地域の固有的な要素を以下のように分析する。 ベトナム:多様な都市活動を収納する初期計画の職人町における低い開発圧に対する高い都市の人口圧による既存既存空間の分割と集積(ハノイ)。低い開発圧と家族の生計を支える伝統的なライフスタイル(ホイアン)。イギリス:大量生産の産物-類型分化の少なさ、大地主による一括開発、建物・道路・スクエアを単位とする都市景観形成のルール、利益追求から発想したアメニティの形成、調和に対するこだわり、職人のサポートとそのネットワークの形成。フランス:一括開発による空間・景観・利用形態の統一、利益追求から発想したアメニティの形成。 都市史に基づく更なる分析、開発手法、供給システネの把握、分析、都市全体の社会・経済状況おけるその位置づけ、具体的な利用・管理実態のモデル分析が今後の課題である。
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