2003 Fiscal Year Annual Research Report
古代エジプト建築における組積造の技術と発展に関する研究
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15760481
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
柏木 裕之 早稲田大学, エジプト学研究所, 講師 (60277762)
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Keywords | 古代エジプト / 組積造 / アブシール / ダハシュール / 階段ピラミッド / 古王国時代 |
Research Abstract |
古代エジプト建築の組積造については、必ずしも十分な論究はなく、そのためこの分野の研究を進めるためには、現地に赴き、建造技術を直接観察する必要がある。そこで本年度は現地調査を実施し、上エジプト地域に造営された石造建造物を中心に施工技術の観察を行った。特に上エジプト地域に点在する小ピラミッドは、石造建造物がエジプトに発生した頃に築かれたもので、日干し煉瓦から石造へと移行する時期の資料として貴重である。 また、早稲田大学エジブト学研究所が実施したアブ・シール南丘陵遺跡、ダハシュール北遺跡の発掘調査にも参加する機会を得、建造技術の詳細を研究することができた。アブ・シール南遺跡では古王国時代初期の石積み遺構について、組積技術を中心に観察するとともに、世界最古の石造建造物として有名なジョセル王の階段ピラミッドとの比較を行い、これに遡る可能性が高いことを指摘した。なお調査の成果は、同研究所の概報や日本オリエント学会の場で発表され、現在同誌への投稿を準備している。 またダハシュール北遺跡ではラメセス時代の石造建造物について詳細に調査を行うことができた。これまで考察を進めてきた当該地域のラメセス2世時代の石造建造物と比較をしながら、活発な建築活動を可能にした合理的なシステムの解明を試みた。日本建築学会への投稿に向け準備を進めている。
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