2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15760487
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高橋 美和子 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (70272169)
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Keywords | 散漫散乱 / 単結晶中性子回折 / 構造相転移 / 欠陥構造 / 熱振動 / Sn |
Research Abstract |
今年度は以下の3点を中心に行った。 1)Snの異方的散漫散乱と熱振動との関係の解明 2)中性子散乱による相転移過程の観測とその時間変化の解析 3)Sn-Ge合金の作成とその評価 1)ついては異方的散漫散乱の強度に強い温度依存性がみられることから熱散漫散乱の可能性が高いと考え、その理論的散乱強度を計算し観測結果と比較した。異方的散漫散乱は主にゾーンバウンダリー付近に筋状に観測されており、これは1次の熱振動効果では説明できない。そのため2次の熱振動効果による散漫散乱強度を計算し、比較した。計算はWarrenの弾性論近似により行った。その結果、Snのゾーンバウンダリ付近での散漫散乱の形状が2次の熱振動効果によって非常によく再現されるという結果を得た。相転移過程でこれらの散漫散乱強度が増大することから、構造変化がこの熱振動の増長に伴って起きる事が示された。また、禁制反射位置での散漫散乱はこの位置での多重散乱が確認されたため、多重散乱による影響であると考えている。 2)については昨年度の英国ISISでの測定結果の解析を進めるとともにKEKのパルス回折装置でさらに確認の実験を行った。回折パターンの温度変化より、β相からα相への転移の過程で逆格子のほぼc軸を中心にした回転が起きている事、α相のピーク強度がAvrami則に従っており相転移の初期の段階でα相の3次元的な核生成が生じている事が明らかとなった。 3)については、Sn-Ge合金の共晶点近傍(0.3 at% Ge)での均一な試料の作成を試みた。この合金は転移に伴う崩壊が起きないと報告されていることから本研究を進める上でその作成は重要である。現在、昨年度購入した単結晶育成炉を用いて単結晶の作成を進めているところである。
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Research Products
(5 results)