2003 Fiscal Year Annual Research Report
材料設計を基板とした次世代高硬度・耐酸化性コーティング材料の開発
Project/Area Number |
15760508
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 常生 長岡技術科学大学, 極限エネルギー密度工学研究センター, 助手 (00313560)
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Keywords | 窒化クロム / 酸窒化クロム / 高硬度 / 高耐酸化性 / 硬質薄膜 / パルスレーザー堆積法 / 予備酸化 / 化学結合論 |
Research Abstract |
近年、工具等の高寿命化のための硬質薄膜を作製する研究が盛んに行われてきている。窒化チタン、窒化クロム、ダイヤモンドライクカーボン等、種々の材料は、実用化も進み、同時に研究も盛んに行われている。しかし、より過酷な切削環境にも使用するためには、コーティング材料の高硬度化と高耐酸化性化が要求されてきている。 本研究では、実用硬質材料の中でも比較的耐酸化性に優れた窒化クロムを、さらに高硬度化・高耐酸化性化する事を目指している。窒化クロムにアルミニウムなどの第3金属元素を添加することにより高機能化させる研究例は幾つか報告されているが、本研究では第3金属の添加の前段階として、基の構成元素である窒素を酸素で置換することを試みた。 パルスレーザー堆積法により、酸窒化クロムの作製を試みた。酸素含有量を広範囲に変化させた結果、酸素量が0〜35%程度の範囲では結晶構造が変化しないことを確認した。さらに35%程度酸素が固溶した酸窒化クロム薄膜は、窒化クロム薄膜よりも高硬度であり、耐酸化性も優れていることを確認した。 上記の実験事実を、種々の分析手法と化学結合論を基に考察した。酸素原子は窒化クロムの結晶格子中の窒素位置に置換固溶し、高硬度化の要因になっているものと考えられた。また作製した薄膜を高温大気中で保持すると、薄膜の結晶粒の表面が母相よりも高濃度の酸窒化クロム、さらに長時間の保持では酸化クロムに変化することによって、環境からの酸素の拡散を防ぐため、耐酸化性が向上しているのではないかと言う予備酸化の効果モデルを提案した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] J.Inoue, H.Saito, M.Hirai, T.Suzuki, H.Suematsu, W.Jiang, K.Yatsui: "Mechanical Properties and Oxidation Behavior of Cr-N-O Thin Films Prepared by Pulsed Laser Deposition"Transactions of the Materials Research Society of Japan. 28・2. 421 (2003)
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[Publications] J.Inoue, H.Asami, M.Hirai, T.Suzuki, H.Suematsu, W.Jiang, K.Yatsui: "Oxidation Resistance of Cr-N-O Thin Films Prepared by Pulsed Laser Deposition"IEEJ Transactions on Fundamentals and Materials. (In press).