2005 Fiscal Year Annual Research Report
材料設計を基盤とした次世代高硬度・耐酸化性コーティング材料の開発
Project/Area Number |
15760508
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 常生 長岡技術科学大学, 極限エネルギー密度工学研究センター, 助手 (00313560)
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Keywords | 窒化クロム / 酸窒化クロム / 高硬度 / パルスレーザー堆積法 / 硬質薄膜 / 化学結合論 / 固溶体 / 材料設計 |
Research Abstract |
近年、工具等の高寿命化のための硬質薄膜を作製する研究が盛んに行われてきている。窒化チタン、窒化クロム、ダイヤモンドライクカーボン等、種々の材料は、実用化も進み、同時に研究も盛んに行われている。しかし、より過酷な切削環境にも使用するためには、コーティング材料の高硬度化と高耐酸化性化が要求されてきている。 本研究では、実用硬質材料の中でも比較的耐酸化性に優れた窒化クロム(CrN)を、さらに高硬度化・高耐酸化性化する事を目指した。すでに前年度までの研究に置いて、CrNに酸素を固溶させた酸窒化クロムCr(N,O)薄膜が、高硬度・高耐酸化性を示すことを確認している。Cr(N,O)は、CrNとCrOの固溶体と考えられるが、CrOという物質が存在しないため、Cr(N,O)中のCr-O結合は不安定であると考えられる。そこで、この結合を安定化させる狙いで、Cr原子の一部をMg電子で置換することを発案した。つまり、ともに岩塩型構造のCrNとMgOを固溶体化した(Cr,Mg)(N,O)である。固溶体化により、結晶中にMg-Oのイオン結合が存在するため、Cr-Oの不安定性が解消するという材料設計である。 Cr-Mg-N-O薄膜をパルスレーザー堆積法によって作製した。X線回折の結果、Crに対するMgの含有量を変化させた結果、広範囲にわたり岩塩型単相の薄膜を得ることができた。またその硬度は、Cr:Mg=1:1の組成で最大硬度を示し、Cr(N,O)よりも高硬度であることが確認できた。(Cr,Mg)(N,O)薄膜を大気中で酸化試験を行ったところ、900℃-1時間の酸化試験でも岩塩型構造を維持しており、700℃以上では酸化クロムCr_2O_3とスピネル酸化物MgCr_2O_4が析出することが明らかになった。
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Research Products
(2 results)