2004 Fiscal Year Annual Research Report
短繊維補強セメント系複合材料の耐久性評価法に関する研究
Project/Area Number |
15760509
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
石山 智 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助手 (80315647)
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Keywords | 短繊維補強 / セメント系複合材料 / 細孔率 / 塩化物 / 拡散係数 |
Research Abstract |
本年度は、短繊維補強されたセメント系複合材料の耐久性として塩化物の浸透・拡散性状に焦点を置き、ポリプロピレン短繊維を混入した数種の試験体について、JSCE-G571-2003に準拠した急速塩化物浸透性試験を行い、拡散特性と繊維混入による細孔構造の変化との関係について考察した。 測定に用いた試験体は、骨材に粉末珪石を混入した押出成形セメント系材料を用いた。繊維混入率は1vol%、2vol%、3vo1%の3水準、繊維長さは3mmと6mmを用い、計6水準について比較を行った。なお、昨年度の結果より、セメント硬化体内の細孔構造は繊維径に依存する傾向が確認できたため、今回の実験では繊維径が同一の物を用いている。 上記の試験体について水銀圧入式ポロシメータにより細孔構造について測定を行ったところ、繊維の混入量に比例して細孔率が増加することがわかった。押出成形セメント材料はその製造過程で真空脱気を行うため、気泡などの混入が抑制され密実な組織を形成するが、繊維周りに形成される遷移体が混入量に比例して増加するため、細孔率もそれに伴って増加する物と思われる。なお、上記遷移体を走査型電子顕微鏡により詳細に観察したところ、繊維の周りには10〜30μm程度の幅を持つ遷移体が確認できた。 次に、これら試験体について急速塩化物浸透性試験により塩化物の実効拡散係数を測定したところ、繊維混入量の増加に伴って実効拡散係数は減少する傾向が見られた。このような細孔率と実効拡散係数の関係については現段階において詳細は不明であるが、粒径の大きい骨材などが塩化物イオンの移動を阻害する要因として働くとする研究報告もあり、供試体内部における繊維の配向状況などとの関連性を含め、今後の詳細な検討が必要であると思われる。
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Research Products
(1 results)