2003 Fiscal Year Annual Research Report
燃料電池システム構成部品材料の水素による環境脆化と信頼性向上方法の確立
Project/Area Number |
15760528
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
高井 健一 上智大学, 理工学部・機械工学科, 助教授 (50317509)
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Keywords | 水素 / ステンレス鋼 / 燃料電池 / 活性化エネルギー / 水素脆化 / 環境脆化 / 拡散係数 / 昇温脱離法 |
Research Abstract |
燃料電池システム周辺で用いられるばね材は、高圧水素雰囲気中で使用されるため、高強度でしかも耐水素脆性に優れた特性を要求される。そこで本研究では、伸線加工により高強度化した準安定オーステナイト系SUS316、SUS304、析出硬化系SUS631J1の3鋼種を対象とし、加工誘起相変態および水素吸蔵・放出過程における水素誘起相変態における水素吸蔵特性について比較した。実験には、直径1mmの伸線材を用い、電解水素チャージにより強制的に水素を吸蔵させた。 SUS316に関しては、昇温脱離法により水素吸蔵量を測定した結果、約4週間で飽和する。吸蔵された水素は、低温側で放出する第1ピークの水素と高温側で放出する第2ピークの水素として2つの状態でトラップされている。第1ピークの水素は、室温放置で徐々に拡散放出する拡散性水素であり、一方、第2ピークの水素は室温では拡散放出しない非拡散性水素である。 SUS306に関しては、約3週間で水素は飽和し、吸蔵された水素はSUS316と同様に、第1ピークと第2ピークの水素として2つの状態でトラップされている。この第1ピークの水素は、室温放置で徐々に拡散放出する拡散性水素であり、一方、第2ピークの水素は室温では拡散放出しない非拡散性水素である。伸線加工率を変化させたSUS304について水素吸蔵を実施した結果、加工率とともに第1ピークの水素量のみ増加する。これより、第1ピークの水素は、加工により生成した格子欠陥(原子空孔、転位)にトラップされた水素と推察できる。 SUS631J1に関しては、約1週間で水素は飽和し、吸蔵された水素は第1ピークのみの状態でトラップされている。この第1ピークの水素は、室温放置で徐々に拡散放出する拡散性水素である。本鋼種の水素吸蔵、放出速度が速いのは、3鋼種の中で最もマルテンサイト量が多いことに起因すると考えられる。
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Research Products
(2 results)