2003 Fiscal Year Annual Research Report
生体親和性Ti-Nb-Sn超弾性合金の多孔質化と変形挙動の解析
Project/Area Number |
15760533
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
野村 直之 岩手大学, 工学部, 助教授 (90332519)
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Keywords | 多孔質金属 / 気孔率 / プラズマ回転電極法 / 弾性率 / 曲げ強度 |
Research Abstract |
本年度(平成15年度)では、Ti-Nb-Sn合金多孔質体の作製に主眼を置き、得られた多孔質体の組織調査と検討を行った。以下に具体的な実験項目を記し、その結果について報告する。 (1)プラズマ回転電極法を用いたTi-Nb-Sn合金粉末の作製 アーク溶解法によって作製されたTi-Nb-Sn合金インゴットを冷間鍛造および溝ロールによって棒状に加工したものを出発材とし、プラズマ回転電極法(PREP)の電極材に供した。アルゴン雰囲気中にてPREPによる粉末作製を行ったところ、電極回転速度9000rpm、アルゴンプラズマ発生電圧110Vの条件下では平均粒径約420μmの球状粉末が得られた。この粉末に対してX線回折による構造解析を行った結果、β相(bcc)のみからの反射が得られたことから、室温ではオーステナイト相であることが分かった。 (2)ホットプレス法による多孔質体の作製 PREP法によって作製されたTi-Nb-Sn合金粉末をカーボンモールドに装填し、950℃の真空中にて焼結したところ、負荷応力を1から5MPaに変化させることで気孔率を14から32%の範囲で制御可能であることが実験的に明らかになった。焼結体に対するX線回折の結果から、β相(bcc)のみからの反射が得られたことから、焼結後において室温ではオーステナイト相から構成されていることが分かった。粉末内部に存在する結晶粒径は約60μm程度であり、粉末同士の結合界面を超えて張り出している結晶粒界も観察された。 以上より、平成15年度ではTi-Nb-Sn合金粉末の作製プロセスと多孔質体の作製およびその気孔率の制御法をほぼ確立した。今後は多孔質体の変態温度や機械的特性(特に弾性率と曲げ強度)について調査を行う予定であり、平成16年度に報告を行う。
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