2005 Fiscal Year Annual Research Report
リン酸化バクテリアセルロースの調製と金属吸着剤としての機能評価
Project/Area Number |
15760561
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
大島 達也 宮崎大学, 工学部, 助教授 (00343335)
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Keywords | バクテリアセルロース / リン酸セルロース / 吸着 / イオン交換 / 金属吸着 / 分離 / セルロース誘導体 / 微細繊維 |
Research Abstract |
本年度は、リン酸化バクテリアセルロース(以下PBCと略す)による各種アミノ酸、生理活性アミン、タンパク質などの生体関連分子の吸着回収について検討した。PBCは弱酸性領域においてドーパミンなどのカテコールアミン類、アミノ酸エステルなどを吸着することができた。リン酸基を導入していないバクテリアセルロースは吸着性を示さなかった。吸着はリン酸基によるイオン交換反応に基づいて進行しており、アミン類の吸着選択性は低かった。吸着等温線より飽和吸着量を求めた結果、PBCへのアミン類の吸着はLangmuir単層吸着モデルで説明され、トリプトファンメチルの飽和吸着量は0.35mol/kgだった。アミン類の吸着は共存塩の影響を受け、100倍量の塩化ナトリウム存在下では吸着が大きく減少した。一方、PBCによるタンパク質の吸着についても検討した。PBCはカチオン性タンパク質であるシトクロムcを酸性領域で吸着し、吸着率はpHが低いほど大きかった。市販される植物由来のリン酸セルロースとPBCの吸着能力を比較したところ、分子量の低いアミン類の吸着は市販物の方が吸着容量に優れていたが、タンパク質の吸着容量はPBCの方が優れていることが示唆された。これはPBCがその微細繊維構造によりタンパク質を吸着しうる大きな比表面積を有しているためだと推察できる。 研究の総括として、PBCは各種金属イオン、生体関連分子の吸着剤として機能することが示された。金属イオンやアミノ酸類等の小分子の吸着においてはPBCの吸着特性は従来のリン酸セルロースとの違いは少なく、素材特性に着目することが重要といえる。一方、タンパク質などの生体高分子の吸着においてはバクテリアセルロースの微細繊維構造が有利に働き吸着回収能力に優れると期待されるため、今後はこの観点から研究を継続する予定である。
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Research Products
(1 results)