2003 Fiscal Year Annual Research Report
熱物質拡散場の光干渉測定によるガスハイドレート生成分解機構の研究
Project/Area Number |
15760563
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
長島 和茂 明治大学, 理工学部, 講師 (70339571)
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Keywords | クラスレートハイドレート / 二光束干渉法 / 一方向凝固法 / 拡散場 / 結晶成長 |
Research Abstract |
ハイドレートの成長や融解に対する液相中の塩分の影響を調べるため、一方向凝固法に光干渉装置を組み込み、THFハイドレート成長・融解時の液相の塩分濃度場の測定を行った。ハイドレートによる不純物排斥効果により、塩分濃度は成長界面近傍の液相中で時間と共に増大した。このようすは、塩分が結晶には一切取り込まれない仮定をもとに物質拡散方程式により解析した結果と、成長の初期において非常に良く一致した。しかし、結晶の形態が、のこぎり歯状の凹凸のある形へと発展したのち、理論的予測に反し、実験値は一定値へと収束した。このことは、結晶側へと塩水が取り込まれたことを示す。 次に、融解時に結晶から放出される、融解水の塩分濃度場を測定した。低成長速度で成長したハイドレートを融解したとき、成長時の窪み付近では濃縮された塩水が排出され、成長時の先端近傍では希釈した塩水が放出された。これにより、ハイドレート成長時に、塩水は結晶パターンの効果により、局所的に結晶側へと濃縮されトラップされることが分かった。また、成長後、一定の温度勾配下でハイドレートの界面を平衡温度に維持したとき、液相側へと塩水の排出が観測された。24時間後には、結晶は粒界のない単結晶へとアニールされた。このサンプルを融解したとき融解水は完全に脱塩されていた。 以上により、成長条件やその後の放置時間により、融解水中の塩分濃度は約4wt%も開きが生じ、融解速度の制御にとり、塩分の取り込みや脱塩作用が重要であることが明らかとなった。 また、一方向凝固装置の利点を生かした、単結晶生成用高圧装置を開発した。これは、装置内に温度勾配を与え、単結晶ガスハイドレートの一方向成長を行うための装置である。現在、THFハイドレートをモデル物質として、THF/水界面でのハイドレート生成時の物質拡散の様子や、成長するハイドレート近傍の物質拡散場の測定を継続中である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] K.Nagashima, Y.Yamamoto, M.Takahashi, T.Komai: "Interferometric observation of mass transport processes adjacent to tetrahydrofuran clathrate hydrates under nonequilibrium conditions"Fluid phase equilibria. 214 No.1. 11-24 (2003)