2004 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界二酸化炭素の溶媒特性を利用した光不斉反応の制御研究
Project/Area Number |
15760572
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
齋藤 良太 成蹊大学, 工学部, 助手 (90327974)
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Keywords | 超臨界二酸化炭素 / 不斉光増感反応 / シクロオクテン / ベンゼンテトラカルボン酸エステル / フッ素含有キラル増感剤 / 1,1-ジッフェニルプロペン / アルコール / 光増感不斉極性付加 |
Research Abstract |
昨年度に引き続きテトラ[(s)-(-)-1,1,1-トリフルオロ-2-オクチル]ベンゼンテトラカルボン酸エステル(1)を光増感剤に用いた超臨界二酸化炭素中におけるZ-シクロオクテンの不斉光増感異性化反応についてより詳細な検討を行った。その結果生成物のキラリティーは、臨界密度以下の低密度領域では圧力の増加とともに3体が優先的に生成していくのに対し、10MPa以上の圧力領域ではキラリティーの圧力依存性が逆転し、圧力の増加とともにR体の生成比が増大していった。一般に、フルオロアルキル化合物は対応する炭化水素化合物に比べCO_2分子に対する親和性が高いことが知られているが、この溶質-溶媒間相互作用の強さと観測された挙動との関連を調べるために、45℃におけるCO_2分子の等温圧縮率(κT/MPa^<-1>)に対してS及びR体を与える反応遷移状態の活性化自由エネルギー差、すなわちln(k_S/k_R)をプロットしたところ直線関係が得られた。κ_Tは媒体のゆらぎ、すなわち系のエントロピーに直接関係したパラメーターであるから、フッ素化増感剤を用いた光不斉反応では、生成物キラリティーに対して系のエントロピー変化が強く反映されることが明らかとなった。 また、これまで一分子系の反応について検討していたが、これを二分子系へ発展させるために、超臨界二酸化炭素中における1,1-ジフェニルプロペンへのアルコールの光増感不斉極性付加についても検討した。その結果、二分子系においても生成物の鏡像異性体過剰率(ee)の圧力変化は全圧力領域で一様ではなく、臨界密度近傍で急激に変化することがわかった。このことから、臨界密度近傍での急激なee変化は一分子系のみに観測されるのではなく、超臨界流体中の反応において普遍的な現象であることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)