2003 Fiscal Year Annual Research Report
飽和炭化水素分解によるカーボンナノチューブの低温合成
Project/Area Number |
15760574
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
竹中 壮 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (10302936)
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Keywords | 担持ニッケル触媒 / メタン分解 / カーボンナノファィバー / カーボンナノチューブ / パラジウム-ニッケル合金 |
Research Abstract |
カーボンナノチューブの発見以来,炭素材料への関心が益々高くなっている.カーボンナノチューブはその構造に由来するユニークな物理的,化学的特性を有しており,その応用が期待される.現在カーボンナノチューブは,レーザー蒸発法,アーク放電法により合成されているが,これらの方法はエネルギー多消費型であり,しかも原料となる炭素源を連続的に供給することができないため,大量生産法には不向きである.一方,炭化水素の触媒的分解法はカーボンナノチューブの大量合成法として期待され,鉄,コバルト触媒上でのアセチレン,ベンゼン分解が検討されている.しかしこの方法でも1000℃以上の高温を必要とし,さらに高温下では生成したカーボンナノチューブがベンゼン,アセチレンの分解触媒として作用し非晶質炭素が生成するため,カーボンナノチューブの選択的合成ができない.そこで本申請課題では,熱力学的に最も安定な炭化水素であるメタンに注目し,メタンからのナノスケールカーボンマテリアルの合成に有効な触媒の開発を行った.メタン分解には担持ニッケル触媒が高活性を示すことが知られていたが,触媒寿命が短い点が問題であった.そこで担持ニッケル触媒の触媒寿命を改善する目的で,種々の金属を担持ニッケル触媒に添加し,これらを合金化した触媒を調製し,それらの触媒のメタン分解活性,触媒寿命を評価した.その結果,パラジウムを担持ニッケル触媒に添加した触媒は,非添加の担持ニッケル触媒と同等の触媒活性を示し,また触媒寿命が著しく改善された.触媒が完全に失活するまでに得られる炭素量は,非添加の担持ニッケル触媒と比較し,パラジウム-ニッケル合金触媒では1桁向上した.また,パラジウム-ニッケル合金触媒では,これまで報告されたことのない構造を有するカーボンナノファイバー,すなわち分枝構造を有するカーボンナノファイバーが生成した.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] S.Takenaka, et al.: "Methane decomposition into hydrogen and carbon nanofibers over supported Pd-Ni catalysts"Journal of Catalysis. 220. 468-477 (2003)
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[Publications] S.Takenaka, et al.: "Structural change of Ni species during the methane decomposition and the subsequent gasification of deposited carbon with CO_2 over supported Ni catalysts"Journal of Catalysis. 219. 176-185 (2003)