2003 Fiscal Year Annual Research Report
がん治療を目指した血管新生抑制分子産生細胞包括用マイクロカプセルの開発
Project/Area Number |
15760590
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
境 慎司 九州大学, 工学研究院, 助手 (20359938)
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Keywords | 細胞治療 / がん治療 / 細胞包括マイクロカプセル / ゾル-ゲル法 / 血管新生抑制因子 |
Research Abstract |
平成15年度は(a)カプセル膜の物質透過特性の制御,(b)包括細胞の生存度及び目的物質産生活性,(c)セラミックス様シリカカプセル膜の物理的・化学的安定性に重点を置き検討を行い、以下のような知見を得た。 カプセル膜の物質透過特性は、膜の基底部に存在するアルギン酸の化学組成、分子量によって影響を受け、グルロン酸の多いアルギン酸からより小さな細孔径のシリカ膜が生成するとの結果が得られた。また、このアルギン酸組成は、内部に包括した株化動物細胞の増殖に大きな影響を与え、特に、グルロン酸が多い場合、細胞の増殖は著しく,抑制されることが明らかとなった。この増殖抑制の要因は、アルギン酸のマトリックス構造の相違のみでなく、シリカの生成過程によって生じる反応副生物も関与していることを明らかとした。これらの結果は、マイクロカプセルの皮膜のみでなく、その内部に含まれるアルギン酸ゲルによっても、細胞の増殖を制御可能であることを示している。 これらの知見を基に、肝臓の薬物代謝酵素であるcytochrome P450(CYP2B1)を遺伝子導入した細胞をグルロン酸を多く含有するマイクロカプセルに包括した。この細胞包括マイクロカプセルを、がん細胞株と共に培養し、培養培地中に、抗ガンプロドラックであるイフォマイドを添加した。その結果、有意にがん細胞の増殖が抑制されると共に、細胞数の減少が確認された。このことから、cytochrome P450(CYP2B1)を遺伝子導入した細胞を包括したカプセルが、抗ガン治療に利用できる可能性を有するデバイスであることが示された。
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Research Products
(1 results)