2004 Fiscal Year Annual Research Report
電極上における自己集合性分子の吸着形態の高度制御によるストレス応答型感応膜の創製
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15760592
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Research Institution | Wakayama National College of Technology |
Principal Investigator |
森田 誠一 和歌山工業高等専門学校, 物質工学科, 助教授 (70332054)
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Keywords | リポソーム / ペプチド / アミロイド / 水晶振動子微量天秤 / ストレス |
Research Abstract |
1.金属表面へのリポソームの固定化 金属表面へのリポソームの固定化方法についてさらに検討した。平成15年度までに,カルボキシチオールで修飾した水晶振動子マイクロバランス(QCM)電極への中性リポソームの固定化を達成している。本年度は,さらに脂肪酸混合リポソーム(酸性,負電荷の表面を有する)をアミノチオールで修飾したQCM電極上に水溶性脱水縮合剤を用いて1段階の操作で固定化することができた。なお,振動数変化から見積もられる固定化量は,カルボキシチオールへの中性リポソームの固定化量と同程度であることが確かめられた。 2.ペプチド-脂質膜間相互作用の検出 QCM固定化リポソームをモデル細胞膜として用い,細胞膜への沈着,アミロイド繊維形成がアルツハイマー病の発症と関連するとされているアミロイドβペプチドと脂質膜との間の相互作用を検討した。本研究では,細胞膜(脂質膜)特性がアミロイドβペプチドの吸着挙動におよぼす影響を脂肪酸混合リポソームを用いて検討した。1,2-ジミリストイル-sn-グリセド-3-ホスホコリンを主成分に,ステアリン酸(炭素数18,不飽和結合0)およびリノール酸(炭素数18,不飽和結合2)をそれぞれ物質量比で100/40となるように調製したリポソームをQCMに固定化し,アミロイドβペプチド溶液中で振動数変化を比較したところステアリン酸を混合したリポソームを固定化したQCMの振動数の方がリノール酸の場合に比べて10-20倍大きく,アミロイドβとの相互作用が大きいことがわかった。不飽和結合の少ないステアリン酸を混合したリポソームは,酸化ストレスを受けて劣化した,流動性の小さい細胞膜のモデルであり,アミロイドβの吸着と細胞膜の酸化劣化との関連が示唆された。
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