2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15760596
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
八房 智顕 広島大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50346524)
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Keywords | デトネーション / パルスデトネーションエンジン / 液体燃料 / 衝撃波 / イニシエータ |
Research Abstract |
燃焼速度が通常の燃焼の約1000倍にもおよぶ爆発的な燃焼の一形態であるデトネーションの応用例の一つとして,間欠的にデトネーションを発生させて推進力または動力を高効率に得るパルスデトネーションエンジン(PDE)がある.液体燃料はエネルギー密度が大きく扱いが容易でありPDEの実用化には不可欠である.しかし液体燃料・空気混合気を起爆するには困難が伴う.本研究では液体燃料・空気混合気を効率的に起爆するため,起爆に対する影響因子を明らかにする. 本年度は液体燃料を作動燃料とするPDEを用いて,液体燃料・空気混合気を安定に起爆する方法およびその条件を調べた.酸化剤を空気とした場合,アセチレン,エチレン等の非常に起爆性の高い燃料を除いて炭化水素燃料のデトネーションを発生させるのは容易ではない.このため本装置では,燃料・酸素混合気を充填した比較的体積の小さなイニシエータ内でデトネーションを発生させ,これを主燃焼室の燃料・空気混合気に伝播させてこれを起爆する方法を用いた.また燃料にはホワイトガソリンを用いた. イニシエータを用いた燃料・空気混合気の起爆において最も重要な支配要因は,イニシエータから主燃焼室に溢れ出した燃料・酸素混合気の体積であることが明らかになった.すなわち起爆の成否はイニシエータ体積に因らない.デトネーションは小さな領域から大きな体積に伝播する際,適当な条件が整っていない場合には減衰し伝播することができない.イニシエータから主燃焼室に溢れ出た燃料・酸素混合気はイニシエータ出口でのデトネーションの減衰を低減する.したがって,イニシエータから溢れ出る混合気体積が十分である場合には,デトネーションは減衰することなく,主燃焼室内の燃料・空気混合気を起爆することができる. 今後は液体燃料の蒸発状態がデトネーションの起爆および特性に及ぼす影響を調べるべく研究を行う.
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