2003 Fiscal Year Annual Research Report
極低温領域で使用可能な小型軽量ループ・ヒートパイプ・システムの試作開発および研究
Project/Area Number |
15760601
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
永井 大樹 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, (NASDA)・総合技術研究本部・システム評価技術グループ, 宇宙航空プロジェクト研究員 (70360724)
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Keywords | ループヒートパイプ / ウィックコア / 宇宙機 / 小型 / 軽量 / 極低温 / 毛細管力 / セラミック |
Research Abstract |
本研究では、宇宙機搭載を目指した、特に極低温領域(80K〜190K)で使用可能な小型軽量ループ・ヒートパイプ(LHP)・システムの試作開発を行うことを目的としている。今年度は、まず以下の3つの項目に絞って研究を進めた。 1.LHPシステム設計・性能解析 2および3に関する設計パラメータの計算の実施および性能解析 2.蒸発部ウィックコアの試作と評価 (1)ウィック孔径、空隙率の成形性に関する確認 -> 設計解析との比較 (2)ウィック孔径の均一性の比較など -> 毛細管力の確認 3.小型LHPシステムの試作と予備動作特性試験 (1)ウィックの選定、設計解析、システムとしての成立性の総合評価 (2)今年度は、上記項目の妥当性を調べるために、まず常温における試験を実施 その主な結果は以下の通りである。 蒸発部ウィックコアの試作では、軽量化を目的としたセラミック多孔質ウィックと従来型の金属系ウィック(ニッケル)を用いて、両者の比較を実施した。試作したウィックは、金属系のものに関しては、概ね設計解析の仕様値に近いものができたが、セラミックのものに関しては、ウィック孔径の不均一さから十分な毛細管力を得ることができなかった。従って、LHPシステムには、金属系ウィックを組み込み、予備動作特性試験を実施した。試験冷媒はエタノールを用いて行った。その結果、非常に低い熱入力でドライアウトを起こした。これは、液封入量が最適ではなかったことと、アキュムレータ容量の不足などが考えられる。ただし、設計の最適化は低温で行っているため、物性値の違いによる様々な影響(粘性、圧力損失、毛細管力など)が考えられ、今後は低温における試験環境を構築し、再試験を実施する必要がある。またLHPシステム全体の試験を行った後、設計解析に関する妥当性を検証していく。
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