2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15760609
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平野 伸夫 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 助手 (80344688)
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Keywords | 超臨界水 / 岩石熱水相互作用 / 熱水誘起割れ / 赤外吸収 / ラマン散乱 / 花崗岩 / hydrothermal Derived Fracture / HDF |
Research Abstract |
岩石-熱水相互作用(Water Rock Interaction, WRI)の研究過程において,水のP-T状態図における気相領域中あるいは超臨界領域中の高温低圧条件で岩石にき裂が生じる現象(熱水誘起割れ,Hydrothermal Derived Fracture, HDF)が観察された.この現象は火山近傍や地殻深部での熱水-岩石相互作用の一部であると考えられる.また岩石周囲に水が存在しない状態では観察されない事から,水の関与した反応である事が強く示唆された. 高温高圧熱水における水の構造は常温常圧における水のそれとは異なっている事が明らかにされてきており,特に水の特異な物性(他の同程度の分子量を持つ物質と比較して融点や沸点,臨界点が異常に高い)の原因である水素結合の状態や水分子のクラスター構造がHDFに大きく影響を与えているのではないかと考えられた.そこで,IRおよびラマン散乱による花崗岩表面近傍の水分子構造の直接観察を行うためのオートクレーブを開発し実験を行った.その結果,まず,熱水の温度圧力条件によって水のOH伸縮振動を示すIRピークに変化が生じる結果が得られた.次に,岩石表面近傍の水を測定した結果,岩石表面に存在する鉱物の種類によっても水のOH伸縮振動を示すIRピークに変化が生じる結果が得られた.これらは水の構造が変化している事を示しており,特に鉱物の種類によるIRピークの変化はき裂が生じる鉱物と生じない鉱物に対応していた事から,HDFは水分子の構造そのもの,あるいは構造の変化が鉱物の構造に影響を与えているものと考えられる.
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