2003 Fiscal Year Annual Research Report
セラミック材料を用いた高温・重照射場用蛍光体の開発研究
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15760632
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤 健太郎 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (40344717)
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Keywords | 発光 / プロトン / γ線 / 温度依存 |
Research Abstract |
放射線照射により発光現象を生じるシンチレータは中性子、ガンマ線等のすべての放射線に対して感度を有し、その強度、エネルギー情報を取得することができるため、炉内放射線管理のための優れた材料となりうる。しかしながら、高温・重照射場といった条件下で利用できるシンチレータ開発については今のところ芳しい成果は得られていない。そこで本研究では酸化物セラミックスを用いて高温用シンチレータの開発を行う。シンチレータの発光中心と期待する材料としては希土類酸化物のセラミックスである。これらを微量の付活剤(activator)として利用したシンチレータは存在しているが、それ自身を酸化物セラミックス発光体として使用した例は存在しない。そこで本研究では希土類酸化物自身の発光を測定し、その温度特性を調べた。 使用した線源は、プロトン(1MeV、2.6×10^<13>p/cm^2s)、^<60>Coγ線(1.17,1.33MeV、6.3Gy(H_2O)/s)である。プロトン照射によって発光が得られた希土類酸化物は、ユーロピウム酸化物(Eu_2O_3)、ガドリニウム酸化物(Gd_2O_3)、エルビウム酸化物(Er_2O_3)であった。Eu_2O_3、Er_2O_3の発光はそれぞれのf-f電子遷移による発光であることが確認されたが、Gd_2O_3についてはその発光起源は不明であるため、今後の検討課題である。次にこれらの発光体に対して昇温さぜながらγ線照射を行った。ここではEr_2O_3の発光は得られなかったが、Eu_2O_3、Gd_2O_3については400℃でも発光ピークが観測された。比較として、シンチレータとして広く利用されている硫化亜鉛系蛍光体(ZnS:Ag)についても同時に測定したところ、ZnS:Agの発光量は温度上昇と共に減少するが、Eu_2O_3、およびGd_2O_3の発光ピークは温度が上昇してもその発光量は減少せず、Gd_2O_3の発光に関しては温度上昇と共に増加傾向にあることがわかった。しかしながらこれらの発光ピークの強度は小さいため、実用においてはこれらを解決する必要がある。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.Toh: "Search for radioluminescent materials working at elevated temperature"FUSION SCIENCE AND TECHNOLOGY. 44(2). 475-479 (2003)
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[Publications] K.Toh: "Infrared Luminescence of rare earth oxide materials"Proceedings of SPIE. 5199. 140-146 (2004)