2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15770006
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
久保 拓弥 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 助手 (80344498)
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Keywords | 針葉樹 / 樹木 / シミュレイション / 光合成 / 呼吸 / 水利用 / 資源配分 / 三次元モデル |
Research Abstract |
今年度は樹木・林分(林冠)モデリングと観測データの対応づけ,特に現在発展しつつある統計モデリングに重点を置いて研究を進めた.主な研究テーマは次の四点である:1.汚染物質曝露条件下でのアカマツ成長解析,2.気象要因を組み込んだ苫小牧落葉樹の成長解析,3.照葉樹の葉寿命分布のBayes推定と種間比較,4.道北ダケカンバ林冠のGibbsモデルによる構造推定.この一年間における成果はMarkov Chain Monte Carlo (MCMC)計算によって複雑な相互作用のもとで観測された樹木・林冠データを説明できるモデル推定が可能になったことがあげられる(研究3.と4.). 1.実験環境のもとで汚染物質曝露設定におけるアカマツの成長補償にともなう資源分配切り換えを最尤推定する手法を開発し,環境と樹木形態の変化に説明を与えた(小林剛との共同研究).影響をシミュレイションによって評価できるようにした.この成果を論文にまとめて現在投稿中である. 2.北大苫小牧研究林落葉樹の直径成長と気象データを関連づける統計モデリングを開発した(鍋島絵里・日浦勉との共同研究).これは経時気象データから直径成長の年変動を説明できる一般化線形混合モデルである.この成果を論文にまとめて現在投稿中である. 3.屋久島の照葉樹22樹種間に見られる葉寿命分布の種間-種内差を統一的にあつかえるBayes推定する計算方法を確立した(牛原阿海・甲山隆司との共同研究).これは「各樹種小サンプルサイズで多樹種」といった従来の統計解析が不可能な状況において,種間の類似と相違を同時に考慮した推定を可能にするものである. 4.北大雨龍研究林のダケカンバ林分で得られた三次元光分布データをもとに,葉群分布がGibbs分布にしたがうという仮定のもとでMCMC計算によって,尤度の高い林冠構造をサンプリグンする手法を開発した(小林剛・加藤京子との共同研究).これによって従来の群落光合成モデルを三次元データに対応させることが可能になり,林冠光合成速度の推定の改善をめざしている.この成果をまとめて2006年3月の生態学会大会で発表する.
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Research Products
(2 results)