2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヤドカリはなぜ交尾直前に脱皮するのか:変動環境下における成長と繁殖の資源配分戦略
Project/Area Number |
15770010
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
和田 哲 高知大学, 海洋生物教育研究センター, 助教授 (40325402)
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Keywords | 甲殻類 / 生活史進化 / 繁殖形質 / ヤドカリ / 資源配分 / 種間比較 |
Research Abstract |
ヤドカリには交尾・産卵直前に雌が(1)常に脱皮する種、(2)脱皮しない種、(3)脱皮したりしなかったりする種がいる。(2)や(3)に属する種の存在は、脱皮がヤドカリの配偶行動に不可欠ではないことを示唆する。また脱皮はエネルギーコストを伴うと考えられ、このコストは産卵数の減少をまねくかもしれない。しかし多くの種で雌は交尾直前に脱皮する。このように交尾直前脱皮は甲殻類の生活史における興味深い現象だが、これまで研究例はなかった。上記(3)に属する種では、同一個体群の雌が連続産卵雌(過去に産卵した卵を孵化した雌がすぐに雄と交尾し産卵する)と不連続産卵雌(過去の卵を持たない雌が産卵する)に区分できる。本研究はこの点に着目して以下の2つの仮説を検証した;成長仮説:雌は脱皮のコストで不連続産卵となっても、成長するために脱皮する;繁殖仮説:脱皮が抱卵場所の更新に役立つならば、雌は連続産卵時に脱皮する。上記(3)に属し高知県土佐湾で普通に見られるホンヤドカリ属3種を対象種として、野外で雄に交尾前ガードされている雌を、その雄と一緒に産卵まで飼育し、連続/不連続産卵の識別、脱皮の有無、脱皮時の成長率、卵数を比較した。その結果、全ての種で成長仮説が支持された。さらに成長仮説は(1)-(3)の種間変異もよく説明することが示唆された。しかし、繁殖盛期には連続産卵雌頻度の増加と同時に脱皮頻度の増加が観察されたため、成長仮説で想定した成長と繁殖のトレードオフは同一繁殖期内の連続産卵頻度と脱皮頻度の時間変化を説明することはできなかった。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] S.Wada, A.Mima: "Reproductive characters of the hermit crab Pagurus proximus Komai, 2000 in Hakodate Bay, southern Hokkaido, Japan"Crustacean Research. 32. 73-78 (2003)