2004 Fiscal Year Annual Research Report
臨界降伏圧を調節する細胞壁結合性タンパク質イールディンのリガンドの探策と解析
Project/Area Number |
15770030
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
中里 朱根 昭和薬科大学, 薬学部, 講師 (20297047)
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Keywords | イールディン / 細胞壁構成多糖 / 細胞壁の伸展 / 細胞壁の力学的性質 / 伸長成長制御 / ミトリササゲ / 臨界降伏圧 |
Research Abstract |
本研究の目標は、細胞壁の酸性化によって誘導される臨界降伏圧(Y)の変化を制御しているイールディン(YLD)というタンパク質の作用機作を明らかにすることであり、それを手がかりにYの実体と細胞壁の伸展過程の分子機構に迫ろうとするものである。そのため本研究の目的をYLDのリガンドの探索と解析とした。 YLDを固定化したアフィニティクロマトグラフィを使って、ミトリササゲ芽生えの伸長成長部域由来の切片より24%KOHを用いて分離した非セルロース性の細胞壁構成多糖からYLD親和性多糖の単離を行った。その結果、キシロース、グルコース、マンノースおよびガラクトースを含む、分子量約120kDの多糖か得られた。 YLD親和性多糖とYLDの相互作用は酸性条件下で強く、pH4の条件下では1μgのYLDあたり約245mgの糖が結合するのに対してpH6の条件下では結合量はその10分の1以下であった。 またササゲ中空胚軸(GHC)を用いて再構成実験を行い、YLD親和性多糖がYにどのような影響を及ぼすかを検討したところ、100μg/mL以上のYLD親和性多糖をGHCにあらかじめ与えた場合、細抱壁の酸性化に伴うYの変化は完全に抑制された。 さらにササゲ芽生えを伸長域と既伸長域に分け、各々から分離したペクチン画分とヘミセルロース画分から、上述の通りアフィニティカラムを用いてこのYLD親和性多糖を単離したところ、この多糖は伸長成長域の細胞壁のペクチン画分中に局在することが明らかになった。従って今回単離されたYLD親和性多糖がYLDによるY調節、そしてそれに基づく成長制御に何らかの重要な役割を荷なうことが示唆された。今後はNMR等の手法によってその構造を解析し、またイールディンとの結合様式について詳細に検討したいと考えている。
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