2003 Fiscal Year Annual Research Report
サイトカイニン代謝系酵素遺伝子の単離と窒素栄養による制御機構の解析
Project/Area Number |
15770035
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
武井 兼太郎 独立行政法人理化学研究所, コミュニケーション分子機構研究チーム, 研究員 (00344044)
|
Keywords | サイトカイニン / 窒素栄養 / 植物ホルモン / 硝酸 / アンモニア / P450 / 水酸化酵素 / 生合成 |
Research Abstract |
窒素栄養シグナルとなるサイトカイニンの合成にAtIPT3遺伝子が関与するかを確認するため、理研トランスポゾンタグラインライブラリー中のAtIPT3遺伝子5'非翻訳領域にトランスポゾンが挿入したラインを解析した。このラインではAtIPT3 mRNAのレベルが野生株の5%以下に減少していた。野生株では硝酸イオンに応答して活性型サイトカイニンのtZが根で3.2倍、地上部で5.3倍に増加するのに対し、挿入ラインではそれぞれ1.1倍、1.6倍と増加量は抑制されていた。以上よりAtIPT3が窒素に応答したサイトカイニン合成に関与する遺伝子の一つであることが示唆された。 AtIPT遺伝子の発現に対する窒素同化産物(アンモニア、アミノ酸)の効果を解析し、AtIPT3遺伝子はアンモニアやグルタミンには応答しないこと、AtIPT5遺伝子はアンモニアにより制御されていることを明らかにした。 AtIPT3遺伝子のプロモーター制御下にGFPを発現する形質転換体ではGFP遺伝子の発現が硝酸イオンに応答することから、硝酸イオン応答シスエレメントがAtIPT3遺伝子プロモーター上にあると考えられた。 サイトカイニンの水酸化酵素の遺伝子を単離する目的で、酵母においてシロイヌナズナのP450遺伝子をAtIPT4、ATR1遺伝子と共発現させ、水酸化されたサイトカイニンを培地に蓄積することを指標にスクリーニングを行った。この方法でCYP709A1、CYP709A2の2遺伝子を得た。これらの遺伝子を発現した酵母由来のミクロソーム画分にサイトカイニンを水酸化する活性のあることを確認した。さらに酵素学的パラメータについて解析し、これらがサイトカイニンの水酸化に関与するP450遺伝子であると結論した。
|