2004 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナの根における遠赤色光応答の分子機構の解析
Project/Area Number |
15770038
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
奈良 久美 独立行政法人理化学研究所, 光生物研究チーム, 研究員 (30322663)
|
Keywords | 遠赤色光応答遺伝子 / シロイヌナズナ / マイクロアレイ / 植物分子生物学 / アクアポリン / フィトクロム |
Research Abstract |
私の研究目的は、植物体内を通って根に到達した遠赤色光が、根の発達や生理の調節にどのように関わっているかを明らかにすることである。昨年度までに、cDNAマイクロアレイ解析及びノーザン解析により、シロイヌナズナの根において、遠赤色光により発現変動する11の遺伝子を特定した。この中には、水チャネルタンパク質(アクアポリン)の遺伝子が6つ含まれていた。遠赤色光による根の水輸送(移動)調節を示唆する興味深い結果である。これらの結果については、本年度、Plant, Cell and Environmentに誌上発表した。 遠赤色光に応答するアクアポリン遺伝子の一つ、TIP2;2は、根において発現量が高く、反応性も大きい遺伝子であった。そこで、この遺伝子をプローブとして、シュート(地上部)だけに遠赤色光を照射した場合にも、発現変動が起きるかどうかを調べた。まず、この実験に先立ち、シュートと根(地下部)の一方を遮光し、他方のみに光を遮光できる植物栽培系を開発した。この系を用いて、シュートだけに遠赤色光を照射したところ、根におけるTIP2;2 mRNA量が減少することがわかった。この遠赤色光に応答したTIP2;2の減少は、野生型株(Ler)やフィトクロムB突然変異体(phyB)で見られたが、フィトクロムA突然変異体(phy4)では見られなかった。したがって、フィトクロムAがこの遠赤色光応答に関与することが示唆された。今回開発した系(シュートのみに遠赤色光を照射する系)では、植物体内部を通ったと考えられる、非常に微弱な光が根まで届いていた。今後は、この微弱な光が根の遠赤色光応答を引き起こすのに有効なのかどうか、シュートと根のどちらに存在するフィトクロムAがこの応答に関わるのかを調べる必要がある。
|
Research Products
(2 results)