2003 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫における空間認知と運動制御:カマキリはいかに鎌を繰り出すか
Project/Area Number |
15770047
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山脇 兆史 九州大学, 大学院・理学研究院, 助手 (80325498)
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Keywords | 視覚情報処理 / 運動検出ニューロン / ロブラ / 餌認知 / 昆虫 |
Research Abstract |
昆虫の脳において視覚情報処理を司ると考えられている部位は視葉と呼ばれる。視葉は主にラミナ、メダラ、ロブラの3つのニューロパイルからなり、複眼の光受容細胞からの信号はこれらのニューロパイルを経由して脳へ伝達される。本研究では、視覚情報処理の最後の段階を担うと考えられるロブラニューロンに着目し、電気生理実験を行った。 カマキリ複眼に様々な視覚刺激を提示した時の、ロブラニューロンの活動を細胞内記録法により測定した結果、視覚刺激への応答特性から、ニューロンは以下の4つの種類にわけることができた。(1)SFニューロン:小さい物体の動きに対して興奮性の応答を示した。(2)NDニューロン:大きい物体の動きに対して、方向に関わらず興奮性の応答を示した。(3)DSニューロン:視野全体をカバーするような広い領域の動きに対して、方向選択性のある応答を示した。ある方向の動きには興奮し、それと逆方向の動きには応答が抑制された。(4)Iニューロン:動きに対して抑制性の応答を示した。 これらのニューロンのうち、SFニューロンは餌サイズの物体に選択的に応答することから、餌の存在をコードするニューロンと考えられた。また、NPニューロンの集団は視野内の様々な位置に受容野を持つことから、動き刺激の位置をコードすると考えられた。 また、銀染色や蛍光色素による組織染色の結果から、ロブラは複数の構造からなることが明らかになった。その中で、SFニューロンの樹状突起が投射する領域とNDニューロンの樹状突起が投射する領域は異なっており、それぞれ餌のサイズ情報を処理する領域と餌の位置情報を処理する領域にあたると考えられた。
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Research Products
(1 results)