2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15770049
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
後藤 慎介 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 講師 (70347483)
|
Keywords | ナミニクバエ / 光周性 / 休眠 / 遺伝子 |
Research Abstract |
光周性の発現に関与する分子メカニズムを明らかにするため、1)明瞭な光周性を示し、2)ある特定のステージで光周期を感受し、3)その感受期が短い、という条件を満たすモデル生物を検討した。その結果、ナミニクバエSarcophaga(Parasarcophaga)similisのワンダリング幼虫に水処理を行うことが適当であることがわかった。通常、ナミニクバエは胚から幼虫に至る4日間に光周期を感受し、この間に長日を感受すれば発育を続けて成虫になるが、短口を感受した場合には蛹で休眠に入る。しかし胚から幼虫にいたるステージでは、発生が盛んに行われていることから上記条件の2には適合しない。一方、胚から短日で飼育したワンダリング幼虫に数日(最低4日間)の水処理を行い、その間に長日を与えると、休眠への運命が消去されてほぼすべての個体が非休眠へと切り替わることが明らかになり、本種は上記3つの条件を満たす好適な材料であることがわかった。そこで、この「休眠運命の消去」に関して生理学的により詳しく調べた結果、この水処理の期間は短日・長日の両方の光周期を感受していること、概日時計が関与していること、暗期に2つの光誘導相があり外的符号モデルが適用できることが明らかになった。この光周期感受期に発現が変化する遺伝子の候補として、Hsp83,Rack 1,EcRなどを挙げ、これらの遺伝子のクローニングおよび発現解析を行った。その結果、候補としてあげたいずれの遺伝子も短日・長日下での発現に差は見られなかった。また、キイロショウジョウバエのマイクロアレイを用いた異種間でのマイクロアレイ解析を行い、短日・長日下で特異的に発現している遺伝子を探索した。結果、いくつかの遺伝子が候補に上がったものの、ノーザンハイブリダイゼーション法による解析では発現量に差は見られなかった。現在、前年にクローニングが終了した概日時計関連遺伝子period, timelessの発現パターンを短日・長日で比較している。
|
Research Products
(1 results)