2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15770049
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
後藤 慎介 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 講師 (70347483)
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Keywords | 光周性 / 休眠 / 遺伝子 / ニクバエ / 概日時計 |
Research Abstract |
本研究は光周性の発現に関与する分子を明らかにしようとするものである。 短日で飼育されたナミニクバエSarcophaga(Parasarcophaga) similisは蛹で発育を停止して蛹休眠に入ることが知られている。一方、長日で飼育された場合は発育を続け成虫となる。昨年度までの研究により、胚から短日で飼育したワンダリング幼虫に数日(最低4日間)の水処理を行い、その間に長日を与えると、休眠への運命が消去されてほぼすべての個体が非休眠へと切り替わることが明らかになった。そこで本年度は次の実験を行った。(1)subtractive hybridizationによる光周期特異的遺伝子の解析(2)概日時計関連遺伝子periodの発現。 (1)暗期の光中断実験により、暗期中には2つの光感受相が存在することが明らかになった。そこでその位相に2時間の光パルスを与えたものと与えなかったものから脳を取り出し、subtractive hybridizationを行った。現在のところ、この光パルスの有無によって特異的に発現する遺伝子は得られていない。 (2)昨年度までの研究により、水処理中の光周期感受には概日時計が関与していることが示唆された。そこで本種より概日時計関連遺伝子periodをクローニングし、水処理中も継続的に短日を経験した幼虫(A群:休眠運命)、水処理中も継続的に長日を経験した幼虫(B群:非休眠運命)、短日を経験した後水処理中に長日を経験させた幼虫(C群:非休眠運命)でその発現を調べた。その結果、A群では暗期の前半にピークをもつパターン、B群では暗期の後半にピークを持つパターンが得られた。C群での発現ではピークは不明瞭になったものの、暗期後半での発現量がB群と同様に増大していることが明らかになった。このような発現パターン、発現量の違いが光周性の発現に関与しているのかもしれない。
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Research Products
(2 results)