2004 Fiscal Year Annual Research Report
癌細胞表層に存在するMMP-7機能変換分子の同定とその癌転移促進機構の解析
Project/Area Number |
15770070
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
東 昌市 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 助手 (10275076)
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Keywords | マトリライシン / MMP-7 / 細胞凝集 / 酸性脂質 / 癌転移 |
Research Abstract |
これまでの研究から、大腸癌由来WiDr細胞をマトリライシン(MMP-7,MAT)で処理すると、その転移能が著しく上昇することが明らかになっている。また、in vitroではMAT処理によってWiDr細胞の細胞凝集が促進されるが、その凝集が転移能上昇と密接に関連することを明らかにしてきた。一方、種々の癌細胞をMAT処理するとMATが癌細胞表層の特殊ドメインであるラフト・カベオラに結合することから、MATはこの特殊ドメイン内の分子に結合し、かつ、近傍の膜表在性のタンパク質を切断つつ、細胞凝集を引き起こすことが予想される。本年度はMATが誘導する細胞凝集機構解明の一環として、細胞表層に存在するMAT結合分子の同定を試みた。これまでにMAT結合分子の活性は種々のプロテアーゼ処理によって消失しないことや、メタノール・クロロホルム混合液で抽出可能であることなどが判明しており、今回は脂質にターゲットを絞ってその同定を試みた。まず、癌細胞から抽出した総脂質を陰イオン交換樹脂を用いて分画したところ、吸着画分にのみMAT結合活性が存在することが判明し、この画分に含まれる硫酸化ガラクトシルセラミド、硫酸化ラクトシルセラミド、硫酸化コレステロールおよびカルジオリピンなどの酸性脂質がその候補として挙げられた。しかしながら、これらの精製脂質をリポソームに取り込ませた後、MAT結合活性を調べた結果、いずれの脂質もMATと結合したことから、MAT結合分子を一つの脂質に絞り込むことが困難であった。今後、これらの脂質の合成酵素をノックダウンさせることなどにより、どの酸性脂質が、癌細胞表層で主要なMAT結合分子として働くか調べる予定である。
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Research Products
(1 results)