2004 Fiscal Year Annual Research Report
リン酸化によるヘムオキシゲナーゼの機能調節機構の検討
Project/Area Number |
15770073
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
東元 祐一郎 久留米大学, 医学部, 助手 (40352124)
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Keywords | ヘムオキシゲナーゼ / NADPH-シトクロムP450還元酵素 / リン酸化 / 質量分析伝 / ヘム代謝 / 表面プラスモン共鳴法 |
Research Abstract |
ヘムオキシゲナーゼ(HO)は、生理的なヘム代謝に与っているミクロソーム酵素で、ヘムを分解してビリベルジン、一酸化炭素および鉄イオンを生成する。反応に不可欠な電子は、同じミクロソーム酵素であるNADPH-シトクロムP450還元酵素(CPR)から供給される。本研究の目的は、ヘムオキシゲナーゼのリン酸化と関連タヒパク質との相互作用との関係を明らかにすることである。これまで我々は、膜結合部分を排除したラットHO-1とCPRの大腸菌での高発現系を確立し、高純度の精製酵素を得た。さらにコンピュータプログラム、In vitro kinase assayにより、HO-1上のT188がPKBによってリン酸化されることを明らかにした。そこで、リン酸化スレオニン模倣体として、T188をアスパラギン酸に置換した変異酵素(T188D)と、PKBモチーフとして重要とされるR185をアラニンに置換した変異酵素(R185A)を作成し、ヘムの分解活性、還元酵素との反応性、反応中間体の分光学的性質について調べた。その結果、R185Aは、CPRを電子供給系として用いた場合、HO活性、基質であるヘムの還元速度とも著しく低下するが、アスコルビン酸を用いた場合は、野生型酵素と変わらないことが明らかになった。次に、CPRとの電子授受反応におけるこれらのアミノ酸の役割を探るため、HOとCPRの相互作用を表面プラズモン共鳴法を用いて検討した。まず野生型HOとCPRは、NADP^+が存在すると、そうでない場合に比べて約5倍強く結合することが知られた。R185A変異酵素ではCPRとの結合が約20倍低下していた。この変異酵素ではNADP^+の添加効果はみられなかった。コンピュータモデリングと併せて検討した結果、R185は、CPRに結合したNADPHを介して、それぞれCPRとの相互作用に関与していることが示唆された。
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