2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトDNA組換え装置サブユニットの高次構造と機能に関する研究
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15770076
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
胡桃坂 仁志 早稲田大学, 理工学部, 助教授 (80300870)
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Keywords | 遺伝情報再編 / 生体高分子構造・機能 / 遺伝子及び染色体 / タンパク質と酵素 / 核酸 / 構造生物学 / X線結晶解析 / 染色体構築・機能・分配 |
Research Abstract |
ゲノムDNAは生命の設計図として機能する重要な分子であるにも関わらず、細胞内において常に損傷を受けている。そのため複数のDNA修復経路によって守られているが、中でも二重鎖切断などの重篤なDNA損傷を受けた場合は、相同組換えを経由したDNA修復経路で速やかに損傷修復が行われることが明らかになってきた。また、相同組換えは、減数分裂による精子や卵子形成での遺伝情報の再編成においても必須の反応である。本研究では、相同組換え反応の要である、相同的対合反応の分子機構を明らかにすることを目的としている。相同的対合反応とは、二重鎖切断部位と相同な塩基配列を無傷の姉妹染色分体もしくは相同染色体から見つけ出して、切断部位と無傷のDNAとの間で組換え反応を行う反応を指す。ヒトでは、2種類のRecAホモログ(Rad51およびDmc1)が、相同的対合反応において中心的な役割を果たしていると考えられている。加えて、ヒトには5種類のRad51パラログが存在している。しかし、相同的対合反応の分子機構はいまだ明らかにされていない。本研究では、これら7種類のヒトRecAホモログをすべてリコンビナントとして、単体もしくは複合体として精製した。そして、生化学的解析を行った結果、Rad51のTyr315は、Rad51多量体形成に重要で、Rad51のリング-フィラメント構造変換において機能していることを示唆するデータを得た。Rad51のリング-フィラメント構造変換は、その機能発現に重要である。また、Rad51の減数分裂期ホモログであるDmc1タンパク質の結晶化を行い、単結晶を得ることに成功した。現在、X線回折データによって立体構造解析を行っている。また、Rad51パラログである、Xrcc3とRad51Cの相互作用領域のマッピングを行い、Xrcc3-Rad51C複合体形成に重要な領域およびアミノ酸残基を同定した。
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