2003 Fiscal Year Annual Research Report
アルテミアの休眠解除に必要な蛋白質の研究・トレハラーゼ発現調節解析を中心として
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15770089
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
田中 晋 産業医科大学, 産業保健学部, 助手 (70280253)
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Keywords | 休眠 / トレハラーゼ / トレハロース |
Research Abstract |
本研究では、トレハラーゼ遺伝子のクローニング、発現調節に関する解析と、トレハラーゼ同様に休眠胚に蓄積されていると思われる"Cryptic RNA"の検索・機能解析が2本の柱となっている。平成15年度の計画では抗体やin situ hybridizationを用いて発現解析を行う予定であったが、すでに遺伝子の塩基配列解析が相当進行しており、研究の一貫性を維持するために完全長のトレハラーゼ遺伝子クローニングを先行させた。現在までに8個のクローンを得、約40kbの領域の塩基配列を明らかにした。アルテミアのトレハラーゼ遺伝子は、マウスおよびショウジョウバエの相同遺伝子の2倍以上の長さであり、遺伝子が長くなっている原因の一つはアルテミアのトレハラーゼ遺伝子のイントロンに存在する高度な繰り返し配列によると考えられる(2003年度国際比較生理生化学会、オーストラリアで発表)。現在は第一エキソン上流域の解析を進めており、正確な転写開始点の確定や転写調節因子の結合可能配列の検索を行っている。平成16年度は、遺伝子のクローニングに関する報告をまとめた上で、in situ hybridizationによる転写産物の局在解析、抗体を用いた蛋白質の翻訳時期の特定などを試みる予定である。尚、クローニングのためのライブラリー構築に先立って北米Great Salt Lake産アルテミアの近交系作成を行ってきたが、この近交系内での遺伝的単一性に関してRAPD法による確認を行い、第74回会日本動物学会(函館)で報告した。 他の"Cryptic RNA"の検索については、使用可能な技法を検討した結果、Differential DisPlayの原理を応用したGene Fishing法を用いて休眠胚に多量に存在するRNAを検索する予定であり、現在予備実験を行っている。
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