2005 Fiscal Year Annual Research Report
アルテミアの休眠解除に必要な蛋白質の研究・トレハラーゼ発現調節解析を中心として
Project/Area Number |
15770089
|
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
田中 晋 産業医科大学, 産業保健学部, 助手 (70280253)
|
Keywords | 休眠 / トレハラーゼ / トレハロース / cryptobiosis / クリプトバイオーシス |
Research Abstract |
本年度は、アルテミアトレハラーゼ遺伝子の5'上流域の解析を続行した。5'-RACE法を行った結果、既知のcDNAと異なる5'UTRを持つmRNAの存在が明らかになり、これまでエキソンIとしていた領域内に未知のスプライシングサイトが存在していることが明らかになった。また、エキソンIについて詳細に検討した結果、この領域内にミトコンドリアリボソームタンパク質の種のコード領域と極めて類似した配列が存在していることが明らかになった。このタンパク質のcDNAをクローニングし、比較すると、配列は100%一致した。このことは、トレハラーゼ遺伝子の上流部にごく最近リボソームタンパク質の配列が挿入されたか、このタンパク質の遺伝子がトレハラーゼ遺伝子上流に存在し、両者の間でエキソンの共有化が起こっている可能性を示唆する。このようなエキソンの共有化は例がなく、確認されれば画期的であると考えられる。現在トレハラーゼ遺伝子とリボソームタンパク質遺伝子との位置関係を明らかにする作業を行っている。 また、昨年に続き、休眠シストに蓄積されている"Cryptic RNA"を検索する作業を続けた。Gene Fishing法によるmRNA検索の結果、シスト中に蓄積されていたり発生再開直後に発現を開始するmRNAは細胞内呼吸に関するものが多いことがわかり、第76回日本動物学会(つくば)で報告した。シスト中に多いmRNA2種類はそれぞれリソソームタンパク質とRho関連kinaseをコードしていることがわかった、後者については、休眠シスト形成に関わるシグナル伝達を担っている可能性があるため、詳細な発現パターンの分析を行っている。
|