2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15770105
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田仲 加代子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (80345264)
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Keywords | 紡錘極体(spindle pole body) / 減数分裂 / 微小管 / 細胞周期 |
Research Abstract |
分裂酵母では、紡錘極体が減数分裂期に特徴的ないくつかの事象に関わっていることが知られているが、染色体の還元分配が起きている減数第一分裂時の紡錘極体が体細胞分裂時と同様の制御を受けているのか、また、減数第一分裂から第二分裂にかけて紡錘極体がどう複製されているのか、といった点についてはほとんど明らかになっていない。本研究では、全ゲノム配列が明らかになった分裂酵母の利点を生かし、Sanger研究所が公表している分裂酵母のゲノム配列および転写情報を用いて、新規紡錘極体タンパク質の単離を目的に、その産物が紡錘極体タンパク質に多く見られるcoiled-coil構造をとることが予想される遺伝子の遺伝子破壊株を網羅的に作成し、減数分裂時における表現型を観察した。 平成16年度においては、そのうちの一つhrs1遺伝子が減数分裂期特異的に機能していることを見いだした。Hrs1タンパク質は減数分裂前期特異的に紡錘極体に局在し、紡錘極体を極とした星状微小管の構築に必要であった。hrs1遺伝子欠損株では星状微小管構造が見いだされず、また、ホーステール運動とよばれる減数分裂前期の核運動が観察されなかったことから、この星状微小管構造は、ホーステール運動に不可欠であると考えられる。Hrs1タンパク質は通常体細胞分裂周期中は発現していないが、nmt1プロモーターを用いて強制的に発現させると星状微小管構造の構築を誘起し、ホーステール核運動に類似した核の往復運動を引き起こした。以上の結果から、Hrs1タンパク質は減数分裂前期特異的に発現し、微小管構造のリモデリングを行うことで、ホーステール核運動を引き起こしていると考えられる。Hrs1タンパク質は微小管のマイナス端にあるγ-tubulin Ring Complexのコンポーネントおよび紡錘極体因子Kms1と物理的に相互作用することが観察された。‘Hrs1タンパク質は、微小管のマイナス端を紡錘極体近傍に集めることで星状微小管構造を形成している'、という作業仮説を現在検証中である。
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