2003 Fiscal Year Annual Research Report
最速モーター蛋白質ミオシンXIの分子エンジンとカルシウムによる制御ブレーキの研究
Project/Area Number |
15770118
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
中村 彰男 群馬大学, 医学部, 助手 (30282388)
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Keywords | ミオシン / 植物 / カルシウム / モーター蛋白質 / バキュロウイルス / 昆虫細胞 / 細胞運動 / 遺伝子工学 |
Research Abstract |
遺伝子工学技術を用いて、最速(骨格筋ミオシンの10倍の速度)のモーター蛋白質である車軸藻ミオシンXIが何故これほど速いかを分子レベルで明らかにするために、全長と頭部(エンジン部分)の組み換え体蛋白質の作成を行った。残念ながら、これまでミオシンXIの組み換え体蛋白質の発現は世界中で試みられてきたが、未だに成功していない。最高速モーターミオシンXIの謎を解明するためには、まずはこの壁を越えなければならない。そこで多くのミオシンの発現で成功した実績ある昆虫細胞-Baculovirusの系を用いてミオシンXIの全長(246kDa)の発現を行う実験を計画どおり遂行した。 ミオシンXIには植物カルモジュリンを軽鎖として必須であるため、同時に植物カルモジュリンも発現させなくてはならない。選択は植物カルモジュリンを発現させる為の組み換え体ウイルスを作成するか?もしくは植物カルモジュリンの昆虫細胞での安定発現株を得ることである。今後のことも考慮して、時間が少しかかるものの後者の植物カルモジュリンのトランスジェニック安定発現株(Sf9)の作成を行った。インビトロゲン社のInsectSelect Glow Systemを用いて、OplE2プロモーターの下流に挿入した車軸藻カルモジュリン遺伝子を相同組換えによりSf9細胞に導入した。Zeosinの薬剤耐性により、安定株細胞をクローニングした。その結果、車軸藻カルモジュリンを常に発現する5つのトランスジェニックSf9細胞株を得ることに成功した。 次に、上記で得られたトランスジェニックSf9細胞株にもっとも良く行われているウイルスを用いてミオシンXI遺伝子を導入し、発現させるシステムの構築を試みた。通常の相同組み換えでウイルスを得る方法ではなく、インビトロゲン社から開発されたGateway Systemを用いてin vitroで直接ウイルスと組み換えることにより、短期問に組み換え体ウイルスを得ることが出来るBaculoDirect^<TM> Baculovirus Expression Systemを用いて蛋白質の発現を行った。その結果、4x10^7pfuのミオシンXI遺伝子組み換え体Baculovirusを得ることに成功した。抗ミオシンXI抗体を用いたウェスタンブロット解析では、全長(246kDa)のミオシンXIの発現蛋白質を確認できたが、発現量は少なく、量的問題を克服しなければならないという課題が生じた。
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[Publications] Kato S, Aihara E, Nakamura A, Xin H, Matsui H, Kohama K, Takeuchi K.: "Expression of vanilloid receptors in rat gastric epithelial cells : role in cellular protection."Biochem.Pharmacol.. 66. 1115-1121 (2003)
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[Publications] Farkas L, Malnasi-Csizmadia A, Nakamura A, Kohama K, Nyitray L.: "Localization and characterization of the inhibitory Ca2+-binding site of Physarum polycephalum myosin II."J.Blol.Chem.. 278. 27399-27405 (2003)
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[Publications] Gao Y, Kawano K, Yoshiyama S, Kawamichi H, Wang X, Nakamura A, Kohama K.: "Myosin light chain kinase stimulates smooth muscle myosin ATPase activity by binding to the myosin heads without phosphorylating the myosin light chain."Biochem.Biophys.Res.Commun.. 305. 16-21 (2003)
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[Publications] Iwasaki W, Sasaki H, Nakamura A, Kohama K, Tanokura M.: "Metal-free and Ca2+-bound structures of a multidomain EF-hand protein, CBP40, from the lower eukaryote Physarum polycephalum."Structure (Camb).. 11. 75-85 (2003)