2003 Fiscal Year Annual Research Report
細胞接着因子VE-Cadherin・PECAM-1による血管新生制御機構の解析
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15770130
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
福原 茂朋 国立循環器病センター研究所, 循環器形態部, 室員 (70332880)
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Keywords | 細胞間接着因子 / VE-cadherin / 血管新生 / Ferチロシンキナーゼ / angiopoietin-1 |
Research Abstract |
血管内皮細胞に特異的に発現する細胞接着因子VE-cadherin (Vascular Endothelial-Cadherin)およびPECAM-1は、細胞間接着を制御することにより血管形成さらには血管機能の維持に重要な役割を果たしている。最近の研究からこれら分子は単に細胞接着の制御だけではなく、シグナル伝達分子としても機能していることが示唆されてきたが、その詳細なメカニズムについては不明な点が多く残されている。本年度は主にVE-cadherinに連関する細胞内伝達機構について解析を進めてきた。その結果を以下に示す。 (1)FerチロシンキナーゼによるVE-cadherinのリン酸化とそれによるVE-cadherin接着機能の抑制 以前から血管新生因子であるvascular endothelial growth factor (VEGF)やGPCRリガンドであるthrombinによる刺激がVE-cadherinのリン酸化を惹起することが知られていたが、そのメカニズムやVE-cadherin機能における意義は不明であった。今回我々は血管内皮細胞においてVEGFやthrombin刺激がFerチロシンキナーゼを活性化し、それがVE-cadherin細胞内領域のリン酸化を制御していることを見出した。また、FerによるVE-cadherinのリン酸化はその接着能力を低下させることが分かった。以上のことから、VEGFやthrombin刺激はFerを介してVE-cadherinの細胞内領域をリン酸化し、その接着能力を抑制的に制御していることが示された。 (2)VE-cadherinの接着機能における低分子量GTP結合蛋白質Rap1の役割 低分子量GTP結合蛋白質Rap1はインテグリンを活性化することにより細胞-細胞外基質の接着を正に制御することが知られている。今回我々はVE-cadherinを介した細胞間接着におけるRap1の役割について検討した。その結果、Rap1GAPII (Rap1の不活性化因子)の過剰発現によって内在性Rap1の活性を抑制するとVE-cadherinを介した接着が優位に阻害されることが分かった。また、血管新生に関与することが知られているangiopoietin-1刺激はRap1を活性化することによりVE-cadherinによる接着を亢進させることが示された。
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